1話:石垣を出て慶応大で彼女と出会う
金城銀次は、1973年10月生まれで石垣島出身の両親の次男として生まれ父の実家の金城家は地元で漁船を持ち12人の漁師を束ねる家であった。そこの当主、金城英剛は頭は切れ人望も厚く琉球大学を出て早くから株投資を始め資金を作っては、漁船を増やして言った。長男の金城剛一も父譲りで賢く豪快な男気のある男で二代目として地元でも注目されていた。
金城銀次は、兄や父から将棋を教えてもらい強くなり中学になると父が麻雀荘で麻雀をしている時の真剣な姿を見ていた。そのため銀次も強くて賢い男になろうと考えていた。そのため小学校時代から兄に負けまいと多くの本を読みソロバンを習い興味のある物は徹底的に追求する熱血漢として育っていった。特に喧嘩の時、理不尽にいじめられてる子を助けたりもした。そのため、友人も多かった。
その中でも電卓、ラジオ、カセットテープレコーダーなどのメカに興味を持った、その他、ラジオから聞こえてくる洋楽の独特の雰囲気が好きになり気に入った曲はカセットに録音していた。中でも洋楽が気に入り歌詞を知りたくなり英語にも興味を持った。あるときFENという米軍の基地放送を聞いて英語の勉強も始めた。1986年、石垣中学校1年の秋学年トップクラスの成績で東京の高校を受験したいと父に頼み資金援助もお願いした。
そして1989年1月、東京へ飛んで明治大学付属中野高校を受験し見事合格した。その後中野駅近くの1Kのマンションを借りて学生生活を始めた。石垣島を出る時には一人前の男になるまで島には帰らないと決めた。この頃、兄の金城剛一は、地元、石垣島の高校で勉強を続けた。父の金城英剛は金城銀次に何とか東京の大学に入って欲しいと願った。そのため、予備校に入るための金も仕送りして予備校に通った。
そして1992年、東京都立大学経済学部と明治大学経済学部に願書を提出して受検して明治大学商学部に合格した。アパートから明治大学までは中央線で20分で通学し始めた。運動部は卓球部に入り投資研究サークルにも参加した。親の仕送りで生活して遊ぶ金は、自分で大学の近くのコンビニでアルバイトして稼いだ。そのため、大学で彼女を探す時間なんてなかった。
しかし2年生になると早田早苗さんが卓球部と投資研究サークルで一緒になり親しくなり映画を見たりした。そんなある日、早田早苗さんが金城銀次を秋葉原に連れて行った。そして豪華なステレオで彼女が好きな昔のサウンドトラック音楽を聴こうと誘われた。やがて、その素晴らしく感動的な音楽の虜になった。それに加えてパソコンも興味を持った。さらに「肉の万世」のハンバーグ、ステーキ、しゃぶしゃぶ、すき焼きも食べた。
早田さんは金城銀次と親しくなり石垣島から無理して東京へ来てると思い食事や映画の費用を出してくれた。そこで早田に実家は何をしているとの聞くと母は、上野で火災保険、自動車保険、生命保険の代理店をやり、お父さんは、同じ所で質屋、古物商をしていた。そして実家が裕福で幼い頃から明治大学付属中学に通っていたことも知った。やがて早田は金城銀次を自宅に招き両親に紹介した。
すると早田さんの両親が父の早田正吉、母の早田育恵ですと自己紹介した。早田さんの両親が金城に興味を持ち実家の事を聞かれ漁師一家ですと答えた。そして石垣島って、きれいな所よねと言った。一度は行ってみたいと思っていたのよと彼女のお母さんが金城に好感を持ち大変よねと告げた。あまり良い身なりをしてなかったので苦労していると勘違いしていたのかもしれない。
その後、大学3年になると大学の投資サークルで東京の大学同士でバーチャル株投資の競争に出場するようになり予めしっかり勉強して大学対抗戦に出場した。最初の頃は下位だったが徐々に順位を上げていった。すると大学卒業したら株投資で稼ごうと早田と金城は意気投合した。こうして東京見物とデート、秋葉原巡り神田のカレー屋の食べ歩きを続けた。
しかし、大学卒業後、金城は実家に帰えらず東京で働きたいと考えた。しかし、なかなか父に話す勇気がなかった。早田早苗さんも卒業後、実家の保険代理店の手伝いをすることになっていたので就職試験を受けるつもりはなかった。そして1996年3月に大学を卒業となった。
「別れる時、早田早苗さんが、金城さん、あなたと結婚したいと打ち明けた」
「これには、何て答えて良いかわからず、即断できないと答えた」
「それに加えて、実家に帰って両親に許可もらってからと告げた」
「すると早田早苗さんが、別れたくなよーと、号泣してしまった」
「金城は、さすがに、これには、参った!」
「何とかして東京に出てこられる用に両親を説得すると早田に約束」
「指切りげんまんしましょうと早田が言うと笑いながら応じた」
「飛行機での時間になると羽田まで見送りに来てくれた早田が、別れ際、顔色が変わった」
「そして、嘘ついたら、ただじゃすまないわよと告げた」
「その後、きっと帰って来てねと涙を流して訴えるではないか」
「その姿を見て、金城は、後ろ髪をひかれるように気持ちになった」