連続予告殺人事件 後編
警視庁
「一体、どうなっている!?」
刑事部長の佐久間は机を拳で叩く。
「誠に申し訳ございません」
刑事課長の佐藤は頭を下げる。一方、参事官のSEKIは佐久間の隣に立ち、立体映像で困った顔をしていた。
「まさか、地下駐車場の防犯カメラを全て壊されるというところまでは、想定しておりませんでした。そうですよね?」
彼は佐藤を少しばかり、かばうような発言をしていた。
「はい」
佐藤は頭を下げたまま、一言返事をする。
「まさか、実体のない人工知能までやられるとは」
佐久間は拳を握りしめる。
「誠に申し訳ございませんでした」
佐藤は頭を下げたまま。
「もういい。もう頭を下げるな」
「はい」
佐藤は頭を上げ、刑事部長を見た。
「問題はこれからだ。まだ、中村氏の遺体は見つかっていない。生きている可能性だってある。全警察官を動員して、探すんだ!」
「はい!」
刑事たちはその声に返事をすると、室内から出て行った。
「病院へ搬送された三人はどうなった?」
佐久間は隣のSEKIに尋ねる。
「はい。皆、まだ意識不明だそうです」
「そうか。民間人が巻き込まれているのが、つらいな」
「そのようでございます」
SEKIは少し下を見た。
「治療が済んだら、即、現場に戻らせろ。捜査官は一人でも多い方がいい」
「はい。そう伝えておきます」
警察病院
千花は目を覚ます。
「ここは?」
「お嬢様」
樹がいた。
「樹?」
「ここは警察病院でございます」
彼は説明する。
「そっか! 確か、仮面をつけた集団に!」
千花は上体を起こす。
「そのようでございます」
「ということは、中村氏はもう既に」
「まだ分かりません。遺体がまだ見つかっていないようです」
樹は状況を説明する。
「なるほど。それなら、今、捜査官たちが探してるはず」
「お嬢様、これを」
樹は彼女に眼鏡を差し出した。
「ということは」
「既に治療は完了しております」
医療の発達により、再生医療で重体でも治療が完了していれば、一時間で完治するのだ。
「分かった。すぐ警視庁へ戻る」
「車を回してきます」
「あ! 籟流は!?」
千花は樹を呼び止める。
「既に目覚められ、仕事に戻っておられます」
「分かった。警視庁までよろしく」
「はい」
警視庁
「あ! 黒川! 大丈夫だったか?」
KOGAは千花に話しかけて来る。
「うん! 治療は完了していたから、大丈夫だよ」
「そっか。それじゃ、聞き込みに行くぞ」
「はい」
ピピピ。携帯端末が鳴った。二人はそれを見る。どうやら、中村氏の遺体が見つかったようだ。
「黒川、俺たちも現場へ向かうぞ」
「はい!」
二人は現場へ向かった。
遺体発見現場。
「お疲れ様です」
千花は警察手帳を見せる。
「ご苦労様です」
巡査は敬礼をする。KOGAも同じく、手帳を見せ、中に入った。そして、遺体の側へ行った。
「どうやら、撲殺のようですね」
「そうですね」
二人はしゃがみ込みながら、言う。
「俺たちは、聞き込みに行こう」
「はい」
千花とKOGAの二人は聞き込みに向かった。
警視庁
「収穫なしかぁ」
KOGAは背伸びをする。
「鑑識へ行って、防犯カメラの映像を見ましょうか?」
千花はそう提案する。
「そうだな。行こう」
鑑識課
「こんにちは」
千花はドアを開けて、挨拶をする。
「はい。何でしょう?」
鑑識の木村がこちらを向く。
「中村順次氏殺害事件の防犯カメラの映像を見せてもらえませんか?」
千花がそう言うと、木村は快く、承諾してくれた。
「はい。分かりました」
そして、彼はUSBメモリを持って来てくれた。
「これです。512あります」
「GB?」
千花は首を傾げる。
「TBです」
「え!? そんなにあるの!?」
「あとは、パソコンにデータで送ります」
木村は淡々と説明する。
「え!? まだあるの!?」
千花は少し、驚いていた。
「あと10本分です」
木村は無表情でぴしゃりと言う。
「分かりました。お願いします」
千花は逆に冷静になり、頭を下げた。
「というか、そういうことは、人工知能の補佐官に任せた方がいいのでは? 折角、スーパーコンピュータを警察によこしたのだから」
「え」
木村の指摘にフリーズする、千花。
「どうする?」
そんな千花にKOGAは聞く。
「補佐官に頼んで来ます」
千花はそう答える。が。
「その依頼はこちらの鑑識課でもう手配済みです」
木村は冷静に表情一つも変えずに言う。
「ということは?」
KOGAはまた、聞く。
「大人しく、聞き込みというローラー捜査をしていた方がいいでしょう」
「ですよね」
木村の言葉に泣きの千花だった。
「黒川、もう一回行こう」
「そうですね」
千花はKOGAの意見に同意する。
「失礼しました」
千花たちは頭を下げて去って行った。
遺体発見現場
「どうするか」
KOGAは立ち尽くす。
「そうですね」
千花も同意する。
「せめて、次が誰か分かれば……」
「きっと、予告して来るでしょうね」
千花は遺体があった白い白線を見て言う。
「あぁ、俺も同感だ」
すると、背後から声がした。
「お嬢様」
二人は振り返る。そこには執事の樹がいた。
「え? どうしたの?」
千花は少し驚いた。
「もうすぐ、家庭教師のバイトの時間です」
樹は淡々と話す。
「えー。嫌だ」
「お嬢様、これも社会勉強の為です」
樹は丁寧に怒る。
「刑事の仕事だけでも十分じゃない?」
「生徒様がお待ちです」
「ちぇえ」
千花はそっぽを向く。
「では、高樽様、お願いします」
――ん? どういうことだ?
KOGAは千花の隣で、首を傾げる。すると、樹は彼の様子に気付く。
「お嬢様のスイッチングは、手の甲へのキスです」
「え!? そうなの!? 初耳!」
KOGAは驚いた。
「では、よろしくどうぞ」
「よろしくどうぞじゃねぇ!」
千花は叫ぶ。
「お嬢様!」
樹は怒る。声を少し、大きめに言う。
「何で!? 事件の方が危機的状況じゃない!?」
「お嬢様、生徒様たちも危機的状況かもしれません!」
「ちぇえ」
千花は渋々、折れた。
――おぉ。
KOGAは少し感嘆する。
「では、高樽様」
樹に言われた通り、高樽愁斗は彼女の手の甲へキスをする。
「ふにゃ?」
スイッチングが完了した。
ピピピ。
「なるほど」
特殊眼鏡による記憶の更新も完了した。
「樹、行くぞ」
「はい。お嬢様」
――あれれ? さっきと雰囲気が違う。
KOGAは再び、驚く。すると、愁斗はKOGAの様子に気付く。
「ん?」
KOGAは愁斗に肩を叩かれ、振り返った。
「あの人は、僕たちをぐいぐいと引っ張っていってくれるんだよ」
「お、おう。そうか、それは良かった」
愁斗にそう言われ、KOGAは戸惑う。
――ということは、生徒さんには超厳しい?
――何か、嫌な予感。
「それでは、KOGAさん。ごきげんよう」
スイッチングした千花が挨拶をする。
「おう。ごきげんよう」
――なぜ、俺までごきげんよう?
バタン。ビュー。
ドアが閉まるとともに車両は走り去っていった。
「た、立ち去られた……」
KOGAは唖然としていた。すると、彼の後方から声がした。
「僕はいるよ?」
「え!? 居たの!?」
愁斗がいた。
「彼女、大丈夫かな?」
「一体、何がだ?」
KOGAは聞く。
「彼女、すごく厳しいんだ」
「おう」
KOGAは相槌を打つ。
「だから、毎回、生徒さんが泣いちゃうらしくて」
「えー」
KOGAはドン引き。
「あ。でも、成績は上がるって人気なんだけどね」
「おう。そうだったのか」
――なら、いいのか。
KOGAは困惑する。そして、愁斗に聞く。
「ところで、君は?」
「あぁ。申し遅れました、千花の彼氏の高樽愁斗といいます。現在25歳、売れない芸術家をしております」
「え!? 彼氏!? 彼女、結婚してるよね!?」
KOGAは再び、驚く。
「あぁ、それは籟流さんですね?」
愁斗は笑顔で答える。
「おぉ、確かそうだったが。で、君は?」
「だから、彼氏を」
「ちょっ、ちょっ、ちょっ。おかしいよね。彼女、法律婚だよ?」
「それは、皆さん、重々承知でございます」
愁斗は笑顔を崩さない。
「へ!? 皆さん!?」
「僕と籟流さん以外にあと8人いますよ」
「え!? 何でだよ!?」
「彼女の中には、10人の彼女がいます。そして、彼女のそれぞれにパートナーがいるという感じになっております」
「そ、そうだったの!?」
――っていうか、よくそんなに出会えたな。
KOGAは困惑する。
「ということで、私はこの辺で」
愁斗は笑顔で会釈をする。
「ちょっと待って。それじゃ、黒川には10人のパートナーがいるっていうことか?」
KOGAは彼を引き留める。
「はい。皆さん、そのことは重々承知で生活しております」
彼は笑顔で振り返る。
「ちなみに、頼流さんは法律婚、青葉君は恋人同士、一也さんと信吾さん、帝三さん、そして、咲哉さんは事実婚。残りは皆、恋人同士です」
「そうなんだ。何か大変だね」
「それでは、失礼」
愁斗は去って行った。
「凄いこと、聞いちゃったんだけど……。上には報告しなくてもいいかな」
KOGAは唖然としていた。
――さ、帰ろ……。
翌日 警視庁
「おはようございます!」
千花は笑顔で挨拶をする。
「おう、おはよう」
KOGAは彼女の方を見て、手を振る。
――き、今日は一体誰なんだ!?
KOGAは困惑する。
「どうしたの?」
千花はきょとんとする。
「昨日の、芸術家の……」
KOGAは恐る恐る聞いてみる。
「あ! もしかして、愁斗君!?」
「君より年上だと思うが……」
KOGAは困惑する。
「もしかして、執事の樹から、全部聞いちゃった?」
「というより、愁斗君からも色々聞いたが……」
「そっかぁ。じゃあ、大丈夫だね」
千花は笑顔でOKサイン。
――一体、何が大丈夫なんだ?
KOGAは何も言えなかった。
「みんな! 聞いてくれ! 三件目の殺人予告があった」
後方から、課長の声が聞こえて来た。
「!」
刑事の皆はそちらを見る。
「今回の予告は公衆電話から、かかって来た。財閥の会長、林田喜一郎氏を狙うというものだった」
「!」
課長は続ける。
「それから、公衆電話のすぐ近くに防犯カメラがあった。犯人が映っているかもしれない。岩田とAZUMAは鑑識課へ向かってくれ」
「はい」
二人は返事をし、鑑識課へ向かう。
「残りの皆は、警護だ。すぐ向かえ!」
「はい!」
刑事たちは現場へと向かった。
「とうとう、財閥の会長が狙われてしまったね」
千花がKOGAに話しかける。
「あぁ、そうみたいだな」
KOGAは頬杖をする。
「よぉ、二人とも」
岩田の声だ。千花とKOGAは振り返る。
「あ」
「で、どうだった? 鑑識課で」
KOGAは岩田に聞く。
「電話ボックスに入っている所は映っていなかったが、時間帯からして、犯人は彼しかいない」
岩田は写真を二人に見せる。
「この男性が?」
二人は写真を見る。
「あぁ、そうだ。名前は吉田哲郎、42歳の会社員だ。学生時代は空手部で犯行も可能だ」
「なるほど」
千花は頷く。
「それから、動機もあることが分かった。復讐だ。学生時代、父親の下請け工場を廃業へと追い詰められていた。父親は当時、自殺。母親は持病の悪化で一ヶ月前に死亡している」
「そうだったのか」
「よし。そうと分かれば、現場へ行こう」
千花は立ち上がる。
「そうだな」
岩田たちもあとに続いた。
現場
「私が狙われている?」
吉田はソファにもたれる。
「えぇ。その様です」
久保田はそう言う。
「だからといって、今回の会議に参加しないという選択肢はない」
吉田は一切、譲らない。
「分かっております。なので、警察の方でも警護を」
NISHIはそう申し出た。
「そうなら、構わんが、民間の警護の邪魔はしないでおくれ。では」
吉田は警護を引き連れ、立ち去って行った。
「我々も行こう」
「はい」
久保田とNISHIを筆頭に刑事たちは警護についた。
「え!?」
「一歩、遅かった?」
千花とKOGAの二人は困惑する。
「どうやら、林田喜一郎氏は、警護を引き連れ、会議室へ向かったとのことです」
「何!?」
AZUMAの説明にKOGAは驚く。
「AZUMA、急ごう」
「あぁ。もちろんだ」
岩田の声にAZUMAは答える。
「俺らも行こう」
「うん」
千花とKOGAもあとに続いた。
タタタタタ。四人は走る。
「会議室は21階だ」
岩田はそう言う。
「え!? エレベーターで行かないの!?」
千花はそれに驚く。
「エレベーターホールは向こうだ」
「やっぱり、使うのか」
KOGAは呟く。
「あたりまえじゃないか」
岩田の代わりにAZUMAが答える。
「お、おう。そうだな」
KOGAは少し、委縮した。
ポン。エレベーター到着した。四人は乗る。
「大丈夫かな」
千花は不安になる。
「襲われてないといいがな」
KOGAもそう呟く。
ポン。エレベーター到着し、扉が開いた。
「どうなってる!?」
「警護班が全滅だ」
「なぜ!?」
四人は驚いた。
「これ見ろ。催涙弾だ」
KOGAは指さす。
「ちょっと、待って。NISHIは人工知能よ」
千花はそう言う。
「無駄だ。防犯カメラが全滅している。視界ゼロによる機能不全だ」
「本当だわ」
千花は岩田の説明を聞き、防犯カメラを見上げる。
「救急車と応援は呼んだ。あとは林田喜一郎氏を見つけないと」
AZUMAはそう言う。
「そうだな。一階へ行こう。ここから連れ出すには一階を必ず通る」
岩田の推測に、皆は一階へ向かう。
「誰もいない?」
「火災灯が点滅している!」
AZUMAはそれを見上げる。
「皆、逃げたのか」
岩田は辺りを見渡す。
「一階だけ、火災灯が?」
「システムをハッキングしていたのか」
KOGAはそう推理する。
「なるほどね」
AZUMAは納得する。
「どこへ向かった!?」
岩田は焦る。
「ここの防犯カメラは生きてる。赤いLEDが光ってる」
AZUMAはそう言う。
「そういえば、お前。平気なのか?」
「え?」
岩田の声にKOGAは彼の方を見る。
「お前は、立体映像型の人工知能だ。防犯カメラが視界ゼロになると、機能不全でフリーズするだろうに」
「エレベーターの防犯カメラは生きていたよ」
「何!?」
岩田は驚く。
「それじゃ、犯人はもう一方のエレベーターで逃げた?」
「そうなるな」
千花の問いに、岩田は頷く。
「というか、応援はまだか? だいぶ経ったぞ」
「連絡する時、ビルの外へ逃走した可能性もあると連絡しておいた」
KOGAの指摘にAZUMAは答える。
「ということは、もう既に、逃走車両を特定しているな」
岩田はそう言うと、皆に言う。
「俺たちも、向かおう」
「はい」
警察車両車内
「このまま、彼は捕まるのかな?」
「だと、いいがな」
千花の独り言に、KOGAは答える。
「そうか」
「どうかしたのか?」
KOGAは聞く。
「林田喜一郎氏を道連れに暴挙に出ないといいのだが」
千花は心配する。
「なるほどね。これは急がないとな」
「えぇ」
《こちら307。犯人の車両を発見した。301、挟み撃ちを願う》
無線から応援要請が聞こえて来た。
「分かりました。データを送って下さい」
千花はそう答える。
「来たぞ。データ」
KOGAはデータを開く。
「ここか! ここを右折して行こう! 捕まってて!」
千花は場所を確認すると、KOGAへ言葉を投げた。
「俺は一応、立体映像型! わぁ!」
警察車両301はサイレンを鳴らすと、強引に右折していった。
「あぶねぇ」
KOGAは後ろを気にする。
「事故るなよ」
「誰に言ってる?」
千花は彼に聞く。
「後方車両の一般人だよ!」
「まぁ、そうだよね!」
彼女はもう一回、右折する。
「ひぃぃぃ。大丈夫かな。あぁ、お前じゃない」
「分かってる!」
KOGAの言葉に千花は少し、乱暴に答える。そして。
「来た! あの車両だ!」
「何!? 正面!? で、でも中央分離帯が!」
KOGAはそう叫ぶ。
「飛び越える!」
「何!?」
ゴトォ! 大きな音が響く。
「ひぃぃぃ!」
KOGAは機械ながら、思わず目をつむる。
ゴトォ、ゴンゴロゴン!
「てめぇ! 横転してんじゃねぇか!」
KOGAは怒る。
「大丈夫。3.2.1…」
千花は構わずにカウントダウンをする。
「あぁ!?」
KOGAが少し、苛立った。次の瞬間。
ドゴォォォ! 轟音が響く。
「ひぃぃぃ」
KOGAは思わず、叫ぶ。そして。
「まさか! 逃走車両が突っ込んできた!?」
「そのまさかでーす」
千花は泣く。
「こりゃ、始末書だ」
「泣くぐらいなら、もうちょっと考えて」
KOGAは少し、困惑した。
「吉田哲郎、殺人の容疑で逮捕する」
割れたフロントガラスから、刑事が犯人を逮捕しているところが見えた。
「あ。逮捕してる」
「本当だ。って、俺たちはこのまま!?」
KOGAは困惑するが、AZUMAたちが駆け付けてくれた。
「私たちが助けますよ」
「あ、ありがとう」
KOGAは礼を言う。
「一件落着ですね」
「そうですね」
四人は連行されていく、犯人の乗った警察車両を見送っていた。
「お嬢様」
その声に振り返る。
「あれ? 樹? 今日はまだ何かあったっけ?」
千花は首を傾げる。
「今日はお料理教室の講師の日でございます」
樹は淡々と答える。
「あー。そうだったね」
「お車はもう既に、用意しております」
「はーい」
「という事で、今日はこの辺で?」
千花はくるっと回って、敬礼をする。
「え。ちょっ。えー!? 俺、また一人!?」
KOGAは再び、焦る。
「なんなんだ、あれは」
岩田はきょとんとする。
「別人格の職業だそうで」
AZUMAは平然と答える。
「へぇ」
岩田は遠い目で、焦るKOGAを眺める。
「な、何でそんなに冷静なの!?」
それに気付いたKOGAは彼らに言う。
「始末書の件は、俺たちじゃないし」
岩田も平然と答える。
「何!?」
「黒川! 戻ってこーい!」
KOGAはそのまま、叫ぶしかなかった。