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あれから3日

暗闇の中自分だけがフワフワと浮いている。


完全に光が内容で、一切周りの状況が分からない。

(ああこりゃ・・・夢だな。このまま寝ているべきか、起きるべきか・・・)


そんな事を考えていると、何かの音が微かに響いていることに気づく。

「ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ」

(何の音だ、聞き覚えのある音だが・・・。)


所詮はただの夢、そう気にすることでも無い筈なのだが、どうにも音の正体が気になる。

(これは・・・羽音か、それにしてはやけに大きいが。)


音の発生源を探そうと、集中する。

すると、突然それはぼんやりと、暗闇に浮き上がった。

蜂。スズメバチだ。かなり大きい、目視なので曖昧だが5cmはあるように思えた。

現実であれば、悲鳴を上げるかもしれない所だが、夢のせいか不思議と恐怖が湧いてこない。

蜂と目が合うと、羽音を立てながらこちらへ近づいてくる。

蜂の方へ手をゆっくりと向けると・・・


「木村さん、起きてください!もう予定の時間を過ぎてますよ!」

急激に意識が覚醒し、目を開ける。

イマイチ頭がはっきりせず、ぼんやりと天井を見つめる。


「知らない天井だ・・・なんちゃって」

声の方に顔を向けると、彼女、佐々木さんがこちらに顔を向けていた。

「もう泊まらせて貰って3日目だし、そんな事は考えてないよ。」

すると佐々木さんは、何故か残念そうな顔をした。


---------------------------------


スーパーでのあの事件から3日、俺は彼女の家に厄介になっていた。

幸い骨折はしていなかったものの、打撲がひどく、とても出歩くことが出来ず、

殆ど寝たきりの状態で、昨日の夜ごろになってようやく痛みが引いてきた所だ。


彼女、佐々木さんも外出は避け、この3日はインターネットで情報収集をしてくれていた。

こうなった原因は全く不明なものの、状況は少しずつ掴めてきていた。

ざっと列挙すると、

・あの怪物たちは世界中で発生しているそうで、モンスターと呼称された。

・俺達が戦った緑色の肌の怪物は、ゴブリンとの名称になったし、

 他にも色々なモンスターの情報が出回っている。

 (無理にファンタジー要素と紐づける必要は無いと思うが、分かりやすさを重視したのだろう。)

・自衛隊が出動し、電気や水道などのインフラ周りの施設を防衛してくれているようで、

 今のところの生活は何とかなっている。

・一方で、交通網は完全に麻痺している。

 モンスターのせいで事故があいつぎ、主要な道路や、鉄道などの機関は軒並み使えない状態だ。

 現在はバイクなどの一部の乗り物でのみ、移動可能な状況らしい。

・モンスターは主に同種のモンスターで集まり、コロニーと呼ばれる拠点をアジトにしている。

 ただ、ずっと引きこもっているわけではなく、外出しては、手当たり次第に人を襲っているそうだ。

・政府の指示としては、個別に行動するのではなく、各自治体の避難所へ集まり、

 集団行動するように呼び掛けている。


「木村さん、体の調子はどうですか?」

未だボーっとしていると思ったのが、佐々木さんが心配そうに尋ねてくる。

「悪くないよ、未だ突っ張るような違和感はあるけど、痛みは引いてくれたね。」

「良かった。じゃあ・・・まずは朝食にしましょう。」


綺麗なテーブルクロスの上には、トーストとパターが置いてある。

「今日もありがとう。いただきます。」

香ばしいトーストの匂いが食欲をそそる。


問題は・・・これで目ぼしい食材が尽きてしまったという事だ。

元々一人暮らしの女性の家、それほど多くの食料の備蓄があるわけでもなく、

そこに厄介者が一名参加したせいで、とうとう食材を食べつくしてしまったのだ。

お米と塩だけなら、まだあるようだが・・・。


「ご馳走様でした。」

「お粗末様でした。」

「そろそろ計画を実行してもいいかと思うんだけど、どうかな?」

「そうですね、洗い物だけして、すぐに出ましょうか。」


流石にこの状況で無計画に行動するわけには行かず、

佐々木さんとは色々と話し合っていた。

・少なくとも身の安全が確保できるまでは、二人で行動すること。

 (彼女から提案してくれたのだが、こちらからは言い出しづらい事だったため、正直助かった。)

・出来るだけ武装をしてまずは俺の家を目指す。

 (特に何が有るわけでもないが、流石に着替えは必要だ。)

・コンビニなどを一応覗いてみる。殆ど無理筋だが、もし食料があるなら購入する。

・最寄りの避難所へ移動し、匿ってもらう。


我ながらごく普通の計画だが、一般人には相応しい行動だと思う。

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