第五話 決戦の合図
俺は、朝早く訓練場に先に来ていた。
俺は、剣の素振りをしていた。誰かと本気で戦うことになるのは久しぶりだなー、少し楽しみだ。
すると後ろからイザエラが訓練場に入って来た。
「随分と早いな。」
「ええ。楽しみなので。」
「お前の化の皮が剥がされるのを期待してるよ。」
なるほど。この人の目的は分かった。俺の本性を暴く為に今回エリスにけしかけたのか?
別に、ずっと隠そうとなんて思った事はない、いずれ本気を出そうとしていたしんたが。
「あまり油断をしない方がいいぞ?彼女はあの騎士の家系の娘だぞ。まぁ当の本人はヴァレンタイン家で忌み子として扱われてるがな。」
「それは期待出来ますね。」
「あぁ。お前の期待に応えられる位には強いぞ。」
「先生は一体俺の何を知っているんですか?」
「フッ、その内分かる。一つ言える事は私は君を知っている。」
「それに忌み子とはどう言うーーーー」
「来たぞ。」
イザエラが、指を差している方向を向くとエリスが入ってきた。
腰に一本の剣を帯びてこちらに向かって来る。
思い出した。ガリバーが言っていたヴァレンタイン家は有名な騎士の家系だって聞いたな。
「待たせたわね。びびって逃げなかったのだけは褒めてあげる。」
「楽しみにしていたからね。君と戦えるのを。」
「じゃあ始めましょう。」
俺達は、訓練場の真ん中に立ち少し離れて互いを見つめ合う。
するとイザエラが、ルールを語り出した。
「ルールを説明する。一つ片方に深い傷を負わせた者は即失格とする。二つどちらか片方が倒れた時点で直ぐに止めること。以上だ。それでは両者構え!」
「そんななまくらな剣でいいの?」
「あぁ。構わない。それに君もその剣は自分が愛用している剣じゃないだろ?」
「ええ。」
俺は、剣を腰から抜き構える。エリスも同じく剣を構える。
「それでは、私がこの魔石を上に投げる、そして地面に落下したら開始の合図だ。」
そう言ってイザエラは手を振り上げ魔石を投げた。
俺は深呼吸をする。エリスも深呼吸をしているみたいだった。
魔石が段々落ちてくる。
静寂が訓練場を支配する。
お互いの鼓動の音が響く。
ーーーーードックン、ドックンーーーーー
鼓動の音が速くなる。
久しぶりな感覚。
随分と感じていなかった。
ーーーーーーーーコツンーーーーーーーー
その音と共にエリスが、地面を蹴り上げて物凄いスピードで俺の方に突撃して来た。
恐らくエリスは、たった一撃で決まると確信していたのだろう。
確かにエリスのスピードは俺が見てきた中でかなりの速さ。
普通の剣士なら一撃で決まるだろう。
だが、相手は俺だ。