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第二話 合格

俺は今、アナスタシア王国にある、あらゆる有名な騎士を輩出したパラディン魔法騎士学院の入試試験に来ていた。


「ここが、王立パラディン魔法騎士学院…デカイな、それに受験する生徒の数も多いな…」


俺は早速試験会場に向かった。するとそこにはかなりの数の生徒が居た。

俺が試験会場に着くと周りの生徒が一気に俺に視線を集める。


「おい、アイツだぜ『無能』だ。」

「あーあれだろ?騎士の家系の癖に無能で剣の才能が無くて追放された男。」


そう俺は、ガリバーが学院に手配する際に俺の事を無能として登録したと同時に家臣達に俺が、才能が無く家を追放されたと噂話を広めて今に至る。


めんどくさい事をする奴だな。

てか、汚名を防ぐ為に追放したなら何でわざわざ言いふらす必要があるのだろうかやはりアイツらは頭がおかしいらしい。

別の場所でもざわざわと騒つく声が聞こえる。声のする方を見ると一人の女生徒が注目の中心に立っていた。


「おい、あれって……」

「あぁ。あの『雷火姫』だ。」


『雷火姫』?

それにしても綺麗な女性だった。

ポニーテールヘア。

右目に眼帯。スタイル抜群。赤眼の瞳に赤い髪の毛。

そして長い足に黒タイツ。

それに彼女から感じる異常なまでの魔力、それだけで彼女がただ者ではない事を理解した。


(ほう…かなりの魔力量だ…くそ弟よりも強いな…)


それから暫く経つと試験官が生徒をそれぞれの場所に案内して試験を行った。

まず基本の筆記試験。次に魔法の適正試験。最後に実技試験。


俺は、筆記試験を平均点ぐらいの点数に調整し、魔法も今は平均より大分弱めに、実技試験もギリギリ受かる程度に調節した。

合格発表は明日行われ、その後に入学式がある。


その日俺は、満足したので、宿に帰る事にした。


ここは王立パラディン騎士学院の会議室。


この一室に教師全員が集まり合否会議を行っていた。


「次。この男か。例の『無能』と名付けられた男は…」


一人の髭を生やした禿頭の男が紙を広げて言う。


「実技試験は平均。筆記試験は全て50点で統一されておる。」


「それだけでは無い。」


真ん中の席に座る女性が言う。


「この男は正答率ほぼ0%の問題を完璧な解答で答えている。」


その言葉に教師陣はざわつく。


「な、なんと!?」

「それは真か?学院長殿!?」

「面白い子が来たわねぇ。」

「やはり無能とは何かの間違いでは?」


「とにかくこの男は私が直々に面倒を見ようと思っているが、反論は?」


女がそう言うと周りの皆はシーンと静まり返った。


「決まりだな。レイ・アストレア魔法騎士候補生を王立パラディン魔法騎士学院に合格とする。」


そう言って女は生徒用紙の紙に”合格”の印を押す。




そして合格発表の日。


校門の前に合格表が記載されてそこで受かった者が入学式に出る権利を得る事が出来る。


俺は内心ドキドキしながら合格表に目を通す。すると一番下にレイ・アストレアと書かれた名前を見つける。

よっしゃーー!!


そしてそんな俺を他所に、隣で生徒達がざわめいていた。


「流石、『雷火姫』だな。」

「ああ。流石ヴァレンタイン家の娘は伊達じゃねぇ。」


ヴァレンタイン家?

それとなく似た名前は聞いた事がある様な…



俺は、合格表を眺めている彼女に話し掛ける。


「首席合格か?凄いな。」

「貴方は?」「あぁ。レイだ。」

「私は、エリス・ヴァレンタインよ。まぁ貴方の名前なんて興味ないわよ。」

「首席なのに不満げな顔だな。」

「まだまだよ、お姉様に近づくには首席を取った程度じゃ。」


そう言って彼女は歯を食い縛る。


「それより、入学式があるのよ?急いだ方がいいんじゃない?無能くん?」


俺を罵り彼女は一足先に、学院の校舎に入って行った。

俺は少し傷付きながらも校舎に入る。

入学式が行われる会場に訪れた。


辺りを見渡すと、一面が全てこの学校に入学する生徒達に覆われていた。

前にはこの学院の教師と生徒が立っていた。


そして一人の生徒がマイクに向かって俺達に話しかけた。


「新入生の皆さん。この度は我ら王立パラディン魔法騎士学院にようこそ。私は現生徒会長を務めているアイリス・ヴァレンタインと申します。以外お見知り置きを。」


すると周りの生徒がザワザワと声を立てる。


(おい、あれが例の?)

(あぁ!そうだ現生徒会長にして学院序列1位『氷鬼姫』アイリス・ヴァレンタインだ!) 

(てことはよ?『雷火姫』って生徒会長の妹!?)


なるほどな。通りで顔付きや瞳の色が似ている訳だ。


「皆も知っている通りこの王立パラディン魔法騎士学院は、魔法騎士学校の中の最高峰。此処では皆が実力を競い合い、騎士の高み、魔法師の高みを目指す場所。貴方達は魔法師そして騎士の卵達。皆がこの学院で満足いくような結果を残せる事を願っています。」


「しかし、未だにかの『英雄』に次ぐ騎士はあのアストレア家ですら現れて居ないのです。」


過去に弟の剣の鍛錬を見た事あるけど論外だった、あれで騎士の家系なんて笑わせる。

俺を侮辱している様にしか思えなく不快だった。

俺の時代の騎士はあんな物じゃなかった。


「皆様にチャンスは有限。皆思うままにこの学院でこれまで培ってきた実力を発揮できる事を願います。貴方達に英雄の加護があらん事を。」


そしてその後も生徒会長による学院の説明と仕組みを2時間程話され、入学式が終わった。


皆が気分を高揚させこれからの学院生活に胸高鳴らせている。

いよいよ明日からは、学院生活が始まる。

俺も、内心楽しそうに思いながら学院生活を謳歌しようと思うのだった。


「待ちなさい。」


誰かに背後から声を掛けられて振り返る。赤い瞳に透き通った美しい水色髪のロングヘア。

エリスの姉である生徒会長だった。


「貴方に聞きいたい事があるの。レイ・アストレア君。」


俺の今の名前を知っている?


「噂になってるもの。」


ああ、そういう事か。


「今はただのレイですよ。それで何か用事ですか?」

「貴方って英雄に関係してる子?」

「え?」

「何か貴方の雰囲気があの男を思い出すのよね。」


彼女は何を言っているんだ?まるで昔の俺、レイド・アシュレインを知っている様な口振りだった。


「違いますよ。それより貴方は英雄とどういう関係だったのですか?」

すると彼女は小さく消えそうな声で呟いた。

「……大切な仲間だった。まぁいいわ!変な事を聞いて御免なさい。それに無能なんて呼ばれてるけどこの学院に入っている時点で才能があるのよ。自信を持ちなさい。」


そう言って彼女は去っていった。大切な仲間だったってのが引っかかる、いつか彼女に聞いてみたい。


それにしても、何故、妹と髪の色が違うのだろう。

考えても無駄か。



明日はいよいよ学校が始まる。果たして現代でどれ程の戦士がいるのか見ものだな。

すみません。黒タイツは無理矢理ねじ込みました。

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