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教室  作者: K
第一章 やじろべえ
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新米体育教師『海原悠太』

 テレビの中のあなたは、いつも輝いていた。

 いつも生徒のことを一番に考え、聖職者としての誇りをもつ。『おーい』と声高らかに叫べば、クラス全員が笑顔で集まってくる。

 時には心を鬼にして、生徒に鉄拳制裁を加えることもある。殴られた生徒は、心の底から反省し、その後はクラスの中心となって生徒たちをまとめ上げるのだ。

 先生は生徒のことをあだ名で呼び、まるで家族のようだ。

 そして川沿いの土手で、教師は生徒に生きていることの素晴らしさを説く。生徒は満開のヒマワリのような笑顔で言う。

 「先生、ありがとう。」

 なんて素晴らしいんだろう。

 僕は、ドラマ「僕らの教室」シリーズの大ファンだった。特に主役の熱血教師、山之内進一郎(通称・ヤマシン先生)は僕の憧れであり、夢そのものであった。

 当時小学生だった僕は、このドラマを見て教師になろうと決めたのだった。


 ヤマシン先生は、国語教師だった。だから僕も国語教師を目指していたが、中学入学以降の僕の成績は壊滅的だった。古文や漢文の意味が分からない。現代文なら少しは良い成績を取れていたが、定期テストの成績は常に平均点をギリギリ越えないのであった。

 文系科目が駄目なら理系科目を頑張ればいい。そう自分を奮い立たせたが、数学や理科はもっと壊滅的だった。何度計算をしても、答えは必ず間違っている。中二の一学期末テストで、僕は数学の学年最低点を叩き出した。小二の時、クラスで一番早く九九を覚えたのに、どうして―。

 そんな僕に唯一残された道、それは体育だった。

 体育だけは常に5段階評価の「5」であり、体育祭の選抜リレーでは三年連続でアンカーに選ばれた。所属していたソフトテニス部では、個人戦で県大会二回戦まで勝ち上ったことがある。

 そうだ、体育だ。

 勉強だけが全てじゃない。国語や数学ができない生徒がいたっていいじゃないか。

 僕は、勉強ができない生徒も見捨てることのない、本当に生徒を愛し愛される教師になるんだ。


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