希少種
調査メンバー発表の翌日、俺達は進化の森に来ていた
調査メンバーの中でのリーダー、《マサクル》の1人のチャラ男、ユウキが今回の調査の説明をしている
名の知れたハンター達を7人も使って1匹のラプターを捕獲?はぁ、馬鹿げた話だ
いくら【単騎姫】だって満身創痍の状態だったらラプターにだってやられるだろうよ
皆緊張しすぎなんだよ
そう思っていた
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「ジョージとジーアは2人でここへ向かってくれ」
そう地図を見させながら言ってくる
そこは俺が初めてあのラプターを見た所だ
ここへ行って待っているだけで良いと言う
どうせ俺達は邪魔だから適当に動かしておこうと思っているのだろう
俺はこの道もう10年だが、こんな若いやつに侮られるなんてな
「はいはい、了解」
「うっしゃ、行くぞジョージ」
30分ほど歩きながら前に見たところまで行く
それまでに何体か反射鳥とあった
反射鳥は鳥らしくアホなのに【反射】という厄介なスキルを持っている
しかもこの鳥厄介な上に何処も素材にならない
肉は不味く羽はボロボロなのでただの害鳥だ
「おー、ここかー。確かにゴライアスの肉が食われてるな」
「あぁ、前見たときよりも食われている」
周りになにもいないか見ているとある一点だけ血の染み込んだ後がある地面を見つけた
「なんだこれ?なんの血溜まりだったんだ?」
不思議に思っているとジーアが
「おい!ジョージ!コレ見てみろよ!」
声の方を見てみると血溜まりと思われる跡の直線上に反射鳥の頭部がない体を見つけた
「これ反射鳥だよな?なんでこんなところに」
「なぁ、ジョージ。自分でもバカなことを言っていると思うんだがよ、ステージ0のラプターが反射鳥を倒せると思うか?」
本来ラプターという生物はとても弱い
この森の中でラプターが狩れるものなんて片手で数えれるだろう。だからこそ奴等は群れる
ステージⅡや、Ⅲに行けばラプターと言えども多少は強くなるがステージⅠのゴライアスにすら勝てない弱さだ
つまりジーアが言いたいのはそんなに弱いラプターが、ましてやステージ0のラプター単体が反射鳥に勝てるかと聞いているのだ
「何いってんだジーア、そんなラプターがいるわけ、、、ないだろ」
そんなに弱いラプターだが1つだけ優れている点がある
それは逃げることと、奇襲することだ
多少レベルが上がったラプターならばステージⅠのゴライアスからならギリギリ逃げ切れるというし、ラプターの奇襲によって命を失う新人もいる
でも奇襲に関しては群れで来るから怖いのであって1匹ならそこまで怖くはない
だからそんなラプターが正面から反射鳥を倒せるとはとても思えない
つまり俺達が今追っているラプターは
「希少種、か」
「ラプターの希少種なんて聞いたことないぜ」
「あぁ、希少種は全て聞いたことの無いものから現れてきた、ラプターの希少種が今出ても可笑しくはない。
ここは進化の森なんだからな」
皮肉げに俺がそう言うと、ひきつらせた笑みで笑っているジーアが見えた