人間
安全のために木の上に登って観戦する
戦っていて気付いていないのか『気配消し』が役に立っているのかこちらには気づく様子はない
視線の先には激しく動き回る2つの生物
1匹はこの前見たものより1回り小さいゴライアス
硬いはずの皮膚からはどころどころ血が出ていて肉が出てしまっている所もある
もう1匹は人間のメス
多分バスターソードと呼ばれる太くて長い剣を持っている
こちらも全身鎧を着ていたようだがほとんど壊れていて無事なのは下半身部分と肩回り位だ
前見た人間は4人組だったし、銃を持っていたがこいつはなぜ持っていないのだろう
お金がないとか?可哀想に
そうこうしている間にも決着がつきそうだ
ゴライアスの攻撃を人間が弾き返す、多分カウンターで
あんな感じなのか
その隙を見逃さず肉が露出している部分にバスターソードを根本まで刺す
そしてゴライアスの口と刺した所からおびただしい程の血液が出る
「ゴァ、ゴ、ゴグァ」
ゴライアスが倒れこむ
どうやら人間の勝利のようだ
人間は荒い息をつきながら近くの木に倒れこむ
そこを見逃すオレではない
素早く近付きまずバスターソードの腹を『強打』で弾き飛ばし、人間を地面に押し倒し両手を足で押さえ込む
人間は絶望的な表情を浮かべていた
その表情を見るだけで食欲が湧いてくる
どうしてくれようか、このメス
食欲は、喰らえ、満たせと言う
本能は、殺せ、奪えと言う
性欲は、犯せ、弄べと言う
どれからやってやろうか
しばらくすると女は何故か清々しい表情を浮かべた
なぜこんな状況でこんな表情を出せるのだろう
「こんな弱い獣に殺されることになるとは、私もまだまだだったと言うことだな。早く殺せ」
何だ、この女
いや、何だこの生物は
こいつは本当に生物なのか?
生物っていうのは生に、生きることに執着するものだろ?
なぜそんなふうに諦められる
「焦らさずに早く殺してくれ」
そう急かしてきたらか、喉元を噛み千切ってやった
この女を見ていたら、何故かバカにされたような気がした
今まで必死に生きてきたオレの姿を
『levelが22に上がりました。ステータスポイントが50ポイント手に入りました。スキルポイントが5ポイント手に入りました』
『称号『人喰い』を達成しました。スキルポイントが5ポイント手に入りました』
『ステージⅠに進化できます』
レベルアップも何もかも、嬉しいと思えなかった
心に残ったのは、アタリどころのない怒りと、よくわからない屈辱感だけだった