<99> クライマックス
いよいよ、この短編集もあと一話を残すのみとなった。この辺りになると、ドラマや映画なんかではクライマックス、すなわち最高潮を迎える訳だが、短編だけに、なんとも盛り上がりに欠けた点は、美味しいパスタでも食していただいて、ご容赦をいただきたい。^^ 一つ、パスタの茹で加減は、少し芯が残るアルデンテよりも芯が分からない程度の微妙な柔らかさがいいように思う。[好みの味覚には個人差があります。^^]
さて、クライマックスという言葉を残った美味しいパスタを啜りながら少し分析してみたいと思う。^^
A会社の応接室である。朝から重要な契約先であるB会社のトップ二人を招き、契約事項の最終チェックが行われようとしていた。締結に向けたクライマックスである。
「いやぁ~、ソコはソレで御社に譲っていただかないと…」
「そう申されましてもなぁ~。それでは我が社がC社に対して悪役になります」
「悪役、大いに結構! バッサリと斬られてください、ははは…」
A会社のトップは、なにがバッサリだっ! と一瞬、怒れたが、グッ! と我慢して思うに留めた。ここが成否のクライマックスだな…と思えたからである。
「バッサリでは儲けが出ないようですからなぁ~、ははは…。どうだね、君?」
A社の重役は危うく身を躱し、担当部長に振った。
「はあ、左様で…。まあコレくらいでしたら…」
「コレだそうです」
「コレですか…。どうだね君?」
斬り返されたB社の重役は担当部長に振った。
「はあ…まあ、コレなら何とか…」
「と、いうことだそうです」
「有難うございます。ではコレで…」
A会社の重役とB会社の重役は笑顔で固く握手した。
分析の結果、クライマックスはソコ、ソレ、コレで盛り上がり、めでたし・・となるようだ。^^
完