<98> 九合五尺(きゅうごうごしゃく)
もう少しで頂上…という山道が九合五尺の位置である。胸突き八丁の辛いところで、山登りがお好きな方なら、よくご存知だろう。この九合五尺という言葉は現在、慣例的にのみ使われる言葉で、正式には通用しない過去の尺貫法の名残である。とはいえ、現在でも山小屋名で現存しているし、業界の方ならよくご存知と思うが、『アレは尺が長いよっ!』などと、お馴染のことと思う。^^
さて、この九合五尺という古い言い回しを分析してみよう。九合五尺は九合五尺だっ! と空腹に苛まれてお怒りの方もおられると思うが、ここは胸突き八丁! ハングリー精神でお菓子でもパクついて我慢していただきたい。^^
とある映画の撮影現場である。
「はいはいはいっ! …カット!! ダメだねぇ~君はっ!! ここが胸突き八丁! だろっ!!?」
「はい…すみません。つい癖で…」
若手俳優が頭を掻く。
「んっ、もぉ~~! 癖はソッチへ置いといて登ってくんないとっ!! 頂上は、すぐソコなんだからっ!」
「…はい、九合五尺ですねっ」
「そうそう、九合五尺っ! クライマックスだぜっ! 頼むよっ!!」
「はいっ! 登りますっ!!」
「頼んだよっ! 頂上でご来光っ!! はい、行こうっ!! テ~~ク5!!」
監督の大声が撮影現場に轟いた。その五分後、若手俳優は頂上へと辿り着いた。
「OK~~っ!!」
ふたたび監督が叫ぶ。監督も、ようやく頂上へ辿り着いたのである。
分析の結果、九合五尺は成否を決定づける分かれ道だと分かる。^^
完