<94> 手前味噌(てまえみそ)
最近の世の中の風潮を窺えば、半世紀ほど前に比べ、手前味噌な人が増えたように思える。手前味噌とは自分に都合のいい考えで物事を考える人のことである。自己中心的・・今風に言うなら、ジコチューな人ということになるだろう。^^ この手前味噌を分析すれば、お味噌汁が美味しくいただける・・ということはなく、現代のいろいろな問題点がポイ捨てゴミのようにアチコチに浮かんでくるから不思議といえば不思議だ。^^
有名な論客、数人が熱心に議論を交わしている。テレビ中継されていることもあり、どことなくどの論客も着飾った物言いで話している。
「いや! それは違うんじゃないですか、得居さんっ!」
「いやいやいやいや、私が正しいっ! いくら町が近代的になったからといって媚井さん、それで町が良くなった・・とは言えんでしょ!」
「それは、あんたの手前味噌な考えだっ! 近代的になることが、町発展の第一歩でしょうがっ!!」
「あんたとはなんですっ! 失敬なっ! 手前味噌は、あんたでしょうがっ!!」
「あんただって、あんたって言ってるじゃないかっ、この手前味噌!!」
そこへ割って入ったのが司会者である。
「いや、お二人方とも手前味噌だと思いますよ。ねえ、皆さん!」
司会者に見回され、他の論客達は全員が一斉に首を縦に振った。
分析の結果、手前味噌は手前味噌な人には気づかない・・ということだ。^^