<90> 晴れのち曇りのち晴れ
世の中の事象は、変化しやすく予断を許さない。50年以上前と比較すれば、最近の変化は非常に激しい傾向にある。文明が進んだことが主因だが、人がその変化についていけなくなるにつれ、その傾向はより強まっている。いつ変化をするか予断を許さない・・という油断できない傾向の強まりである。この変化を気候に例えるなら、晴れのち曇りのち晴れ・・となるだろう。当然その逆もあり、曇りのち晴れのち曇り・・の場合もある。また、晴れのち曇りのち晴れ・・とかなんとか思わせておいて、急な豪雨や大雪になる場合だってある。^^ 今回は晴れのち曇りのち晴れ・・という分かりやすい例で、この変化を分析してみたいと思う。
証券取引所での一場面である。とある会社が一部上場した株がその日の朝、会社始まって以来の高値をつけ、強含みに推移した。
社内は、その知らせを聞き、沸きに沸いていた。
「ははは…快晴、快晴っ!!」
課長が大声で課員達を見ながら叫んだ。だが、沸かない男が必ず一人はいるものである。
「そうですかねぇ~~?」
「妙なことを言うヤツだな、君はっ! 素直に喜んだらどうだっ!」
「いや! 嬉しいんですよ、嬉しいんです、ははは…。嬉しいんですが、雲が出てきましたから…」
テンションが上がらない社員は窓に映る空を指さしながら言った。
「なんだ、天気か…」
課長は一瞬、怒りを静めた。だが次の瞬間、もう一度、窓をマジマジと眺め、また怒り出した。
「なんだっ! 雲なんか一つも出とらんじゃないかっ!!」
「はい、確かに…。でも、そのうち出てくると思います…」
「馬鹿なっ! 君は先が見えるのかっ!」
「はあ、まあ多少…」
テンションの上がらない社員がそう言った次の瞬間である。新しい株価の一報が社内に齎された。
「か、課長っ!! えらいことですっ!! うちの株が大暴落ですっ!」
「なっ! なにぃ~~~っ!!」
課長の声に連動するかのように、天候が急に雨寄り始めたのである。
「こりゃ、降るかな? …でも、大丈夫か…」
「だ、大丈夫なんだねっ! えっ、君!?」
「はい、…そう思います」
テンションの上がらない男は、少しテンションを高めて返答した。次の瞬間、空の雲は遠退き、ふたたび陽が射し始めた。
分析の結果、晴れのち曇りのち晴れと世の中は変化しやすいから、一喜一憂することなく生きるのが最良の策・・という結論が導き出せる。^^
完




