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<9> 焦(あせ)る

 物事をしていると、ついついあせることがある。それで首尾しゅびよくいけばいいのだが、がいして失敗したりするものだ。たとえば、車で急いでいて、近回りしようと道を変えた結果、逆におくれたり事故になる場合である。この事実を分析すれば、やはり心の有りように問題があることが多い。性格ということもあるが、その時々の状況が多分たぶんに影響しているのである。もちろん、同じ状況に遭遇そうぐうしたとしても、個人差は当然、生じる。前述した性格の違いによるものだ。

 とあるスーパーで安売りの販売が行われようとしている。時間限定だから、それを目当ての主婦がさり気ない素振そぶりで店の品を見ながら買い物をしているが、むろん、安売り目当てで買うはずもない。そして、その安売りタイムがやって来た。主婦達は一斉いっせいにその特設売り場へと殺到さっとうした。誰もが焦るから、混雑は頂点に達し、戦場の様相を見せる。ところがどうしたことか、一人の主婦は後方でジィ~~っとかまえ、動こうとしない。

「あらっ! 奥さま。買われないのっ?」

「ええ、まあ。ほほほ…」

 いぶかしげに知り合いの主婦がたずねたが、後方の主婦は、いっこうあわてる気配を見せず、一笑いっしょうに付した。

「はいっ!! 売り切れでぇ~~すっ!!」

 店員が大声で叫ぶと、買えなかった主婦達は、そそくさと特設売り場から遠ざかり始めた。そのときを待っていたかのように、後方の主婦が店員の前へ近づいた。

「取っといてくれたわねっ!」

「ええ、まあ…。参ったなぁ~、奥さんにはっ! ははは…」

 店員は小声で返した。二人は近所同士で、なにかと店員は弱みをにぎられていたのだ。その弱みを突いて、主婦は事前に手を回しておいた・・ということだ。

 知恵と要領があれば、そう焦ることもない・・というのが分析の結果だ。^^


                  完

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