<84> 布(ぬの)
人は裸で生まれ、やがて裸で死んでいくが、その人生で身に付ける衣類は、上着、下着を問わず、すべて布で出来ている。当たり前だろうがっ! とお怒りの方もおられることだろう。そこはそれ、この辺りから分析の話を起さないと話にならない ^^ から我慢してお読みいただき、煎餅を齧りながらお茶でも飲んでいてもらいたい。^^
布は縦糸と横糸が織り重なることにより、洋服や和服[着物]となっていく訳だが、その布にも当然、寿命があり、破れることになる。正確に分析すれば、破れは織られている糸が弱ることにより切れる現象である。今日は、そんな布に纏わる話である。
とある動物園である。朝から多くの入場客で賑わっている。ひと組の親子がオランウータンが見える位置で見物しながら立ち話をしている。
「父ちゃん、お猿さんはお洋服がいらないから安上がりでいいよねっ!」
「んっ? …ああ、そうだな。いっぱい生えてる毛が天然の服だからな! 熊の毛皮とかあるだろっ?」
「うん! 羊さんは、その服を盗られるんだよねっ!?」
「ははは…そんな人聞き、いや、羊聞きの悪いことを言うもんじゃない! 羊の毛は紡がれたあと、織られて温かい布になるんだぞっ!」
「ということは、…稼いでるんだっ!」
「そうそう! 餌代くらいは楽に稼いでるなっ!」
それを聞いていたかどうかは知らないが、オランウータンが気分を害したように厚布のような毛を揺らし、親子の前から姿を消した。たぶん、『稼いでねぇ~で悪かったなっ!』とでも思ったのだろう。^^ 分析の結果、ご婦人の温かに着ておられる羊毛のコートは、羊の働きによるものなのである。^^
完




