表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/100

<67> 不朽(ふきゅう)

 不朽ふきゅうという、いい言葉がこの国にはある。不朽の名作・・などと使われる言葉だ。この不朽という言葉をじっくりと分析して味わってみるのも一興いっきょうというものだ。ひまなヤツだな…と思われる方もあろうが、そこは正月のもちでも焼いて、「お前は醤油? ああ、そうか、甘いのはダメだったな…俺は断然、砂糖醤油!」などと、どうでもいいことをネチネチ食べながら言い合い、テレビの漫才中継でも観ていて下されば、それでいい。^^

 不朽という言葉を分析していると、なかなか味わい深い言葉であることが分かってくる。普遍ふへん不朽の名作などと言われ、永久とわに変化しない絶品の執筆だと強調する言い回しにも使われる。料理の場合でも、継ぎ足し継ぎ足して作られるタレのように不朽の味・・などと歴史に引き継がれる場合がある。いずれも、後世に伝え残したいという願望が深層心理に込められているのである。

 正月でにぎわう、とある商店街である。その一角に、50年以上、変わらず出し続ける昆布の元祖がんそを売り言葉にした老舗しにせがあった。この老舗は、人々から不朽の味っ! と絶賛され、人気があった。ところが最近、この老舗の道路を挟んだ対面に新しく昆布の店が出来た。この店も老舗と同じように昆布の本家ほんけを売り言葉にして商売を始めた。数年が経ち、次第に客足は新しい店へと動いていた。少しずつ減る客に、老舗の店主は「?…」と首をかたむけ、調べてみようと客に紛れて本家の昆布を買ってみた。持ち帰って味わってみると、驚いたことに自分の店の昆布のあじと同じではないか。店主は益々(ますます)、原因が分からなくなり、首を傾け過ぎ、倒れそうになった・・ということはなく、両腕を組んで考え始めた。そのときだった。老舗の番頭が暖簾のれんくぐってもどってきた。

「旦那さまっ! 訳が分かりましたよっ!」

「どういうことだね?」

 店主は朴訥ぼくとつたずねた。番頭の説明によれば、本家は元祖が売った商品をひそかに買いあさり、また売っていたのである。

「… ということは、本家の品はうちのしなだったのかい?」

「ええ! ほんとにもう! しかし、そんなことでもうけけが出るんですかね?」

 番頭も分からなくなり、店主と同じように両腕を組んだ。

「分からんっ!?」

 店主は、益々腕をかた意固地いこじに組んで、考え始めた。番頭も同じように、益々硬く腕を組んで考えた。

 分析の結果、不朽が激動する世の中の重要なブレーキ役になっているという事実だろう。ブレーキが利かないと、激突して、チィン~~~!! となるから、用心したいものだ。^^^^


                  完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ