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<64> 自分の物

 [自分の物]とは何なのか? を分析することにしよう。そんなことを分析するひまがあったら年末の大掃除でもしろっ! と怒られる方もあろうかと思う。そこはそれ、夕飯前の熱燗あつかんを一本、サービス! ^^ ということで、ご勘弁かんべんいただきたい。^^

 さて、[自分の物]とはどういう物なのか? を分析すれば、奥深い内容が含まれていることが分かってくる。人が裸で生まれることを誰も否定はしないだろう。よろいかぶと姿で生まれる訳がないだろうし、着飾きかざって宝石を身につけたり化粧をして生まれもしないのだ。^^ 生まれた以上、当然、いつかはあの世へ・・というその逆は必ず起こる。わしゃ死なんっ! と意固地いこじに言われるお年寄りでも、やはりおくなりになる訳だ。^^ 分析すれば、死ぬときに地位とか名誉、それにお金や土地etc.を持ってあの世へはいけないことに気づく。死ぬと同時に全部、没収ぼっしゅうされるのだから、なんにもならない。^^

 とある公園にあるベンチで、一人の老人が新聞を読んでいたが、読み終えたあと、うっかり老眼鏡を置き忘れた。老人は知らずに立ち上がり、その場を去った。しばらくして、別の老人が現れ、立った老人と同じベンチへ何げなく座った。すると、上手うまい具合に読んでください! と言わんばかりの新聞と老眼鏡が置いてあるではないか。座った老人はあたりを見回したが、人の気配もなく、これはこれはっ! と、したり顔で老眼鏡をかけ、置き忘れられた新聞を読み始めた。

 一方、立ち去った老人は、途中で老眼鏡と新聞を忘れたことに気づき、しまった! と思い、公園へと引き返した。公園にもどると、自分の老眼鏡で新聞を読む老人がベンチにいるではないか。『あの…その老眼鏡と新聞、自分の物ですっ!』と老人は声が出そうになったが、口には出さず思うにとどめた。よくよく考えれば、老眼鏡と新聞に名前は書いていないから、自分の物です! とは証明できない訳だ。

『まっ、いいかっ! …』

 老人は別の老眼鏡を買うことにして、座っている老人に老眼鏡と新聞を進呈しんていする奇特きとくな気分になったのである。老人はUターンすると、ふたたび帰路に着いた。老人は歩きながら思った。『あれは自分の物ではなく、人生を生きていく上で使わせていただいた物かも知れん…』と。

 ここに登場したお話のように、[自分の物]を分析すれば、実に曖昧あいまい概念がいねんであることが分かる。^^


                  完

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