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<61> 部品保有期間

 使っていた物が痛んだとき、『部品保有期間を過ぎており、部品がないため修理できません』などと言われる場合が多い。そんなとき、思わず、『ないのかいっ!』とテンションを下げ、不如意ふにょいなげきそうになるものだ。^^ 最近の低成長の時代では、こうした傾向がとみに強く、特に電化製品ともなれば、部品保有期間10年・・とかを堂々とうたい文句にしている。これは、暗に、『ははは…痛みましたか? 修理できませんから買い換えて下さいよっ!』とでも言いたげな会社の使い捨て感覚で、こうした経営方針には、誰もが腹立たしくなることだろう。

 さて、この部品保有期間という概念を分析すれば、以外にも今後の日本経済の展望も明るくなってくるのでは…と思えるから不思議である。^^

 どこにでもいそうな中年サラリーマンの夫が朝から、あ~でもない、こ~でもないとガチャガチャ音声機器をいじっている。ゆっくり出来るのは日曜だということもある。

「妙だなぁ~? 昨日きのうまでは、よく聴こえていたのに…。仕方がないっ! 修理に出すか…」

「あなた、トーストが覚めてしまうわよぉ~~!」

 そのとき、キッチンから妻がサイレンのような声を響かせた。

「ああ!! 今、いくっ!!」

 五月蝿うるさいなぁ~…と思っても言えない夫は、その場しのぎの言葉を取りあえず返して、携帯を手にした。相手先は電化製品の取扱説明書に書かれていたメーカーである。

『はいっ! …ああ、そうですか。当社には部品在庫センターがございまして、ほとんどの物はケアされるシステムになっております。ですから、部品保有期間などは一切いっさい、ございません。お話の内容からいたしますと、おそらく修理は可能と存じます。書かれております先へお送り願えれば…』

「ははは…これはこれはっ! お宅の会社を選んでよかったですよ、ほんとにっ! 他社は、ほとんど買い換えですからねぇ~」

『当社は、世界にほこる製品ケアを目指しております』

「なるほどっ! 会社は信用が第一ですからなっ! ははは…」

 そのとき、妻の第二声が、ふたたびキッチンからとどろいた。

「あなたぁ~~!!」

「あっ! ではっ!」

 夫はあわてて携帯を切ると、キッチンへ走った。

「危ない危ないっ! 信用、信用っ!!」

 部品保有期間を分析すれば、妻の信用度に似ていることが分かってくる。^^ 


                  完

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