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<60> 歳末(さいまつ)

 歳末さいまつともなれば、人々の動きはどういう訳か活発化する。その典型的な例が歳末商戦だ。『ホニャララ市場いちばいもの子を洗うようなにぎわいを見せておりますっ! 以上、ホニャララ市場から煮汁にじるがお伝えしましたっ!』などと、アナウンサーが実況する人の動きである。^^ この歳末という得体えたいの知れない雰囲気を分析すれば、普段と何も変わりはないものの、雰囲気が一変する歴史的につちかわれた伝統的な文化がその背景にあることが分かってくる。この雰囲気は、にわかには作り得ない代物しろものなのである。

 いつもはグデェ~ンとしている老人が師走しわすになった途端、別人のようにソソクサと動き出した。

「どうしたんですっ、ご隠居! そんなにお急ぎになって?」

 いつもと違い、歩道を早足で歩く若者のようなご隠居を見かけた酒屋の主人は、出前のパイクを止めると声をかけた。『ご隠居、ボケられたんじゃないか…』と一瞬、思えたこともある。

「君っ! 何を言っとるんだっ! 歳末だぞっ! 歳末っ!!」

 ご隠居は歳末を強調して言った。

「はあ、そうですなぁ~。今日から12月でしたっ! ははは…」

「ははは…じゃないっ! 歳末だぞ、歳末っ! こんなところで油を売っとる場合じゃないだろっ!!」

「いや、こりゃどうも…。まあ、私とこは油じゃなく酒ですがっ、ははは…」

「ったくっ! 油も酒もないっ!! 歳末は急がしいんだっ! あわただしいんだっ!」

「そうですなぁ~。でも、最近は余り景気がよくないのか、普段と余り変わらないんですがねぇ~」

「余り変わらんでも歳末は忙しい! としたもんだっ!」

「はあ、そういうもんなんですかねぇ~?」

「ああ、そういうもんだっ! 立ちばなしなどしとらんで、さっさと行きなさいっ!!」

 ご隠居は大声で酒屋の主人を叱咤しったした。

 分析の結果、歳末とは慌しくしないといけない季節のようだ。^^


                  完

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