<57> 予知(よち)
すべてのことに言えるのだが、生きる上で未来が予知出来れば、こんな便利なことはない。悪いことが起こる…と分かれば、予め、そうならないように策や手段を講じることが出来るからだ。起こる場合でも、最小限に起こるに違いない悪いことを未然に防ぐ策や手段などを講じられる訳だ。孰れにしろ、先が分かれば私達が助かることに変わりはない。
とある繁華街の人通りが少ない一角で、椅子と机を置いて座る一人の辻占いがいる。辺りはすでに夕方近くで、歩道を歩く通行人も少なくなっていた。
「どれどれ、そろそろ灯りを…」
そう独りごち、辻占いは机の角に置かれた行灯の蝋燭に火を灯した。そのときである。一人のしがない中年男が、前を横切ろうとして立ち止まった。
「見ていただけますか?」
男はポツリと短く言った。
「… ああ、どうぞどうぞっ! お手を…」
男が椅子に座ると、辻占いは男の掌を天眼鏡でマジマジと見始めた。
「ほう! これはこれは…」
「どうかしましたか?」
「どうもこうも! この手相はっ!」
「はあ?」
「あなたの家へUFOが飛び来たり、あなたを星へ誘うと・・出ておりますっ!」
「そ、そんなメロンっ![馬鹿なっ!→バナナっ!→さらに強い驚きを表すメロンっ!となる]」
「はあ? …まあとにかく、私はあなたの未来を、はっきりと予知できるのですっ!」
「ははは…いや、もういいです。これ、お代です…」
男は見てもらうんじゃなかった…と後悔しながら紙幣を置き、立ち去った。
その数日後、男の姿は忽然と世の中から消えた。警察その他の捜査、捜索にもかかわらず、男の消息は今なお分かってはいない。ただ、辻占いだけには男の行方がはっきりと分かっていた。
『ははは…いくら探したって無駄さっ! だって、あの方はTP102星雲の地球で暮らしているんだから…』
これが本当なのかどうか、私は知らない。^^ ただ、分析の結果、3次元科学をもってしても、予知の能力を完全否定することは出来ないようだ。^^
完




