<46> 味(あじ)
囲碁のテレビ解説を観ていると、「あっ! そう出ますとホニャララですから、味がなくなりますよねっ!」などと解説者が、さも全てを知っているかのような口調で語っておられるが、[失礼! ^^]この味という言葉も、分析してみれば、味わい深いことが分かってくる。^^ 例えば、料理の味だと、「…なかなか深みがある、いい味ですなっ!」となる。芸能方面だと、「あの俳優さん、なかなか渋いいい味を出すねぇ~!」である。他にも、「女足軽のSF時代劇ですが、なかなか味わい深い、見応えある作品に仕上がってますなっ!」などとなる。^^ 孰れにしろ、味わい深いことに変わりはないのだが…。^^
とあるテレビ局の料理番組の収録中である。有名な早口の女性料理家が料理を作っている。裏方のマネージャーが料理家に合図を送るものだから料理家は作りにくくって仕方がない。だが、そうとも言えず、マネージャーのせいにするだけで、多くは語らないようだ。
「ど、どう!?」
女性料理家は味見用の小皿に鍋の汁を少量入れ、忙しなく女性アナウンサーの前へ差し出す。
「美味しいですねっ!」
アシスタント・ディレクターが『あと、2分。急いで!』と書かれたカンペ[カンニング・ペーパーの略で、台本内容や構成を出演者に掲示する紙(主にスケッチブック)]を、見て下さいっ! と言わんばかりに、女性料理家の前へ突き出す。
「わ、分かってるわよっ!」
笑いながら、女性料理家は呟く。
「えっ?」
女性アナウンサーが怪訝な顔で女性料理家を見る。
「いいえっ! いいお味でしょ!?」
女性料理家は味で話を暈す。
「あっ、ああ! はい…」
キツネに抓まれたように、女性アナウンサーは返す。
分析の結果、味は、味よくいろいろな場面で使われている言葉だと分かる。^^
完




