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<43> 思いついたが百年目っ!

 思いついたが百年目っ! ・・という気持いい歌舞伎のような言い回しがある。正確には、ここでうたが百年目ぇ~~! とかなんだろうが…。^^ この言い回しは、ふと、思いついた以上、やってしまうかっ! …といった前向きの気分で口にする言葉だが、これを分析してみると、良い場合、悪い場合の両方があることが判明する。良い場合は、やったお蔭で間に合った、やっていなければド偉いことになっていた・・ということになる。悪い場合だと、あのときやっていなければ…と後悔こうかいする破目になる早とちりによる失敗などだ。

 とあるサラリーマン家庭の一場面である。日曜ということもあり、この家のご主人は、かねてより思い描いていた日曜大工[DIY=do it yourself]を朝から始めていた。ところがこのご主人、そう手先が器用ではなかったから、少しやっては作業が停滞ていたいしていた。

「これでは、昼どころか一日かかっても出来んぞっ!」

 怒る相手もなく自分に切れて愚痴りながら、ご主人は、とうとう腕組みをすると、さて…と考え込んだ。そのとき、ご主人に思いつかなくてもいいのに、妙な考えが浮かんだ。

「思いついたが百年目~~っ!」

 歌舞伎のようなひとことを小さくつぶやき、ご主人は何か得体えたいの知れないモノに取りかれたかのようにせわしなく動き始めた。その姿を遠目とおめに、このの奥さんがながめていた。ご主人の動きは尋常じんじょうではなく、懸命に何かを探しているように奥さんには見えた。

「もう、お昼よっ! なに探してるのっ!?」

 奥さんは問いかけてみた。

「このたなに置いといた缶のふたはっ!?」

「缶の蓋? …ああ、それなら、一昨日おととい、燃えないゴミに出したわよっ!」

おそかりしぃ~由良介ゆらのすけぇ~~っ!」

 ご主人は、ふたたび歌舞伎のような言葉を小さく呟くと、作業を中止した。

 分析の結果、思いついたが百年目っ! は、必ずしも百年目ではないようだ。^^


                  完

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