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<36> 浮かぶ瀬

 ことわざに、━ 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあり ━ というのがある。この諺を分析すれば、要するに、迷っていることでも思い切りよく勇気を持ってやれば、案外、上手うまくいくものだ・・ということである。むろん、上手くいかず、浮かぶ瀬に乗った途端とたん、沈む・・ということも有り得る。そういうときは、お気の毒っ! と慰めの言葉をかけるほかはないのだが…。^^

 浮かぶ瀬も、今のような世知辛せちがらいご時勢じせいではビミョ~~な存在以外のなんでもない。

 とある平凡な会社である。二人の社員が語らっている。

「まだ、これだけあるんだ。なんとかして欲しいよっ!」

「いや、お前は、そんなにしなくっても大丈夫さっ! ははは…苦労性くろうしょうやつだなっ!」

「そうかぁ~? いや、こうしてやってる残業が、俺にすりゃ浮かぶ瀬なんだからな」

「いやいや、やったとしてもだっ! 飛ばされるときは飛ばされるんだぜ。お前もこの前の人事、知ってるだろっ?」

「ああ、あいつな! あいつ、今、どうしてる?」「まあ、それなりに地方で出世してるそうだぜ」

「そうなんだ…」

「地方へ飛ばされた結果だから、返って浮かぶ瀬だつたのかもなっ!」

「やめたやめた…」 

 浮かぶ瀬の残業に見切りをつけ、二人はちまたの飲み屋へと向った。

 分析の結果、浮かぶ瀬は深く考えない方が浮かぶようだ。^^


                  完

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