表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/100

<3> 我儘(わがまま)

 自分の思い通りにならないと、ご機嫌が悪くなる・・この心理を我儘わがままという。分析すれば、世の中は個人中心に動いている訳ではなく、当然ながら自分の思い通りにいかないのがつねである。多くの人々はある時は折れ、またある時は妥協だきょうして世知辛せちがらいこの世を生きている訳だ。むろん、折れたり妥協する必要のない少数の人々は、思い通りにならなければご機嫌が悪くなり、意固地いこじになったりする。これが我儘と呼ばれる性質のものである。この我儘はその人自身が考えをあらためない限り、決してなおることがないやまいのようなもので、始末が悪い。

 とある大実業家の我儘に育てられたドラ息子が、偶然、目にまった洋服店で買い物をしている。

「これ全部、買います」

「いや、それは…」

「買えないのっ? じい、らしいよっ! なんとかしなさいっ!!」

「は、はいっ! かしこまりましたっ!!」

 ドラ息子の我儘に、いくらなんでもそれは…と思いながら、お付きの執事しつじは真逆の言葉を口走った。 

「そう申されましても…」

 間髪かんぱつ置かず、店員が執事の心を代弁した。そのとき、若い一人のヤンキーが店に入ってきた。

「オッ! コレいいやっ! コレ、買うぜっ!」

「ダメだよっ! これは僕が今、買ったから僕のものだっ!」

「何、言ってんだっ、こいつっ!! どこにおめぇ~の名が書いてあるってんだっ!! おおっ!」

 若いヤンキーはすごんだ。

「じ、爺っ!!」

 ドラ息子はふるえ声で執事に下駄をあずけた。

「まあまあ、そうおっしゃらず、これをっ…。他のお店で、おひとつなんとか…」

 執事はかばんから100万円の札束さつたば三束みたば取り出すと若いヤンキーの前へ突き出し、手渡そうとした。

「オッ?!! おお…」

 若いヤンキーは札束に凄まれ、あらがうことなく札束を受け取ると店を出ていった。

 この世では金がモノを言うと、我儘も通るようだ。^^


                  完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ