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<27> 虫の知らせ
上手い言い回しに、虫の知らせ・・というのがある。なにも虫が態々(わざわざ)出向いて、『ホニャララですよ…』などと知らせる訳がない。^^ 飽くまで、そんな微かな霊感のような感じを指す言葉なのである。
花瓶に風雅に挿された芒の穂。三宝の上へピラミッド形に見映えよく盛られた月見団子。蒼白く照らす満月の光。そして静かさの中に聞こえる虫の集き。そんな中、一人の男がドッペリと縁側に腰を下ろし、何を思うでなく無我の境地で満月を愛でている。そこへ一匹の猫がニャァ~~! と鳴くでなく楚々(そそ)と現れる。男は、ふと、その猫の動きで我に返る。と同時に、団子を猫に食われそうな虫の知らせを知る。^^ 結局、お月見相場の話ではなくなり、雑念が巡るのである。ところが猫は団子を食べることなく、男の横へドッペリと腰を下ろし、毛繕いを始める。
分析すれば、虫の知らせも結局のところ、当たり外れがある訳だ。^^
完




