<2> 縁
縁は異なもの味なもの・・とはよく言われるが、それほど縁とは計りしれず妙なものなのである。縁を分析すれば、人の目には見えない漠然としたものとして運とよく似通っている。人がさまざまな人や事態、事象に遭遇したとき、その人や事態、事象と拘り深くなるか否かは人それぞれで、その深さを世捨て人のように斜に構えて分析するのも面白い趣向だ。
とある魚屋である。買い物客と店主が店先でなにやら話している。
「いやぁ~そう言われますがね、お客さんっ! これでも十分、勉強させていただいとるんですよっ!」
「いやいやいやっ! まだまだ勉強不足なんじゃないかっ! もっと、いい成績を取ってもらわないとっ! この店とは先代からの古ぅ~~いお付き合いなんだからさっ! もう、ひと声っ!!」
「そう言われても…。弱りましたなぁ~…」
「なにも弱るこたぁ~ない! 太っ腹でズドォ~~ンとっ!!」
「太っ腹でズドォ~~ンとっ!? 仕方ありませんねぇ~。じゃあ、あと50円だけですよっ! ほんとに、もうっ!! うちは赤字続きだっ!」
「ははは…それでいい、それでいいんですよっ! 縁がありますねぇ~、この店とは…」
「…」
店主は、あなたとは縁遠くなりたいっ! とは思ったが、そうとも言えず愛想笑いで暈した。
縁を分析すれば、当然、よい縁だけでなく悪い縁も生じる危険性があるから、気をつけよう!^^
完