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<18> 干(ほ)し柿

 正月の神膳、仏膳用にと丹精たんせい込めてるしたし柿を、カラスに80%以上、今年も持って行かれ、老人はガックリと肩を落としていた。この事象を分析すれば、『盗られたっ!』と感じた老人は、『被害を受けたっ!』と、さも人の犯行のように考えたのだ。ところが、野生動物・・この場合はカラスなのだが、彼らは生き残りをかけて必死に食料を調達している訳であり、盗った・・という意識は皆無かいむなのである。ただ、生き続けるため・・という本能だけの行為なのだ。それを手間をかけて作ったからか、人は口惜くちおしがって盗られたっ! とわめく訳だ。

 その翌年である。老人は防止ネットの工事を業者に依頼し、夏過ぎに完成させた。

「フフフ…これで今年はっ!」

 完成した防止ネットを見ながら老人はニヤついた。そして、秋が巡った。老人は、去年と同じように干し柿を作り、やっとカラスに持っていかれることなく完成させた。

「どうやら、今年は…」

 老人はひそかに北叟笑ほくそえんだ。その直後、工事代の高い請求書が業者から送られてきた。去年と同様、老人はふたたび、ガックリと肩を落とした。

 分析の結果、盗られたくなければ、冷静に判断して知恵をしぼる努力をすれば、干し柿の一件は未然に防げたのだ。要は、出費で防ごうとした軽弾かるはずみが努力不足なのである。大相撲なら、足が前へ出ていないため突き落とされる・・とかの感じだろうか。^^  


                  完

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