<13> 態(わざ)と…
人が意志を持ってすれば本人の責任だが、しようとしていないにもかかわらず、そうなってしまうことがある。分析すれば、目に見える見えないは別として、当然、そうさせる何ものかが存在する。本人による過失であっても、そこには不作為にそうさせる何ものかが潜んでいるのだ。そうするこの場合の行為は、態と…と呼ばれる。神社や仏閣の縁日などで見かける屋台の数々(かずかず)。
「あらっ! これいいわねぇ~! おじさん、いくらっ?」
「おっ! お姉さん、いいとこへ来なすった! 今日はもう、店を畳もうかと思ってたんですよっ! 本来なら¥1,000はもらう代物だが、美人のお姉さんにゃ手も足も出ないっ! すっかり絆されたってんだから仕方がねぇ~やなっ! 閻魔さまに蒟蒻プレゼントしたつもりで¥500!! 売っちゃおっ!!」
「わぁ~安いわっ! お一つ、もらおうかしらっ!」
「はいよっ!! 損はしねぇ~わなっ!」
などと、超有名な映画の主人公のように声をかけられ、態と…買う女性。俗に桜と呼ばれるそうだが、それに釣られて 周りで見ていた人も、ついつい買ってしまうことになる。ある種の販売促進行為で経営学でいうデモンストレーション効果・・とは、いつぞやも書いたとおりだ。^^ この場合の態と…は、人の知恵であり、寄付行為と同じでいい場合だ。
「おっと! 危ねぇ~じゃねえかっ!! 気をつけなっ!」
「申し訳ございません…」
いい商家の若旦那が道を楚々(そそ)と歩いていると、どこぞの風来坊が態と…追突して財布を掏る。時代劇でよく見るかけるパターンだが、この場合の態と…は悪い。犯罪行為で実に悪いっ!^^
このように、態と…は良い、悪いの両方の行為が存在する訳だ。ただ、私が書いているこの短編はボケ封じで、態と…書いている訳ではない。^^
完