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天才設計士の恋愛事情  作者: 滝神淡
日常
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第7.5話 通常時の出撃風景

【スクーラル・スター☆】出撃の時。

 ナキは出撃して【アイギス】から離れると【スクーラル・スター☆】のメンバーを計器で確認した。

 全員ついてきている。

 盛んに他のチームとの会話も入り、【ファイアーブランド・パラディン】のシゼリオからも呼び掛けがある。

 戦闘前の様々な、幾らか形式的なやり取りを終えた後、互いに幸運を、と言って終えた。


 計器が広範囲に敵味方識別情報を表示している。

 計器を指でちょっと操作すると、それはコックピットの窓一杯に薄く表示された。

 計器に表示されているのは俯瞰図のような物だったが、窓に表示されたのはリアルな視点の物。

 視認できない遠方の物は輝点で表示されている。

 輝点に指を向けて少し滑らせると望遠になり、姿が確認できた。

「大体いつもの構成かな?」

 幾つかの輝点を望遠にして確認すると、多くはJF(ジェリーフィッシュ級)である。

「敵の攻撃圏内に入るよ、回避行動! モンスターの告白(、、)をOKしないようにね!」


 敵の方が攻撃圏内が広い。

 こちらがこの距離で撃つとラッキーショットを狙うしかないが、敵は弾数に無頓着。

 体の一部を使っているらしく、弾切れは無いと言われている。

 自身の質量が無くなるほど撃てばそれは弾切れと言えるのだろうが、そこまで戦闘が長引くことが無いからだ。

 逆にこちらは弾数が有限な上に、ミサイルの精度がすこぶる悪い。

〈コズミックモンスター〉が追尾性能を無効化する領域を持っていて、『ミサイルを撃てば勝ち』とはいかないのが今の時代なのだ。


 敵からの弾幕、正面から無音の雨。

 規則性が無く回避が非常に難しい。

 これだけで何機か墜ちるのだ、敵と出会う前に。

 十年前はこれだけで大半が撃墜されたという。

 ナキの目線は視力テストよりも激しく動き、乱暴に操縦桿を振り回す。

 機体の急動作の度に体にはぎりぎりと負荷が襲い掛かった。

 何発か受けてしまったが、これ位なら大した事ではない。


 見渡す限りの星の海。

 その中を猛烈な速度で泳ぐ機体達。

 前方に敵が迫る。

 こちらの攻撃も解禁だ。

 ナキの戦闘機を含め地球軍の千機にものぼる機体が、敵に照準を合わせガトリング砲を一斉射撃。

 最初の攻撃で二~三十程度の敵を撃破。

 ナキも一体撃墜した。


 ナキは敵の群れに突っ込み、突き抜けると右旋回。

 急激に景色が移り変わる中複数の敵を頭の中で捕捉し続ける。

 JF一体を追尾開始。

 相手は他の戦闘機を追っている。

 追う。

 微調整、距離を詰める。

 周囲安全。

 背後安全。

 ガトリング発射。

 命中僅少、大半は回避された。

 敵が振り向き、不規則な軌道でこちらに向かってくる。

 幾らか撃ってみるが当たらない。

 操縦桿を鋭敏かつ流れる動作で動かしていく。

 敵も撃ってきたので回避、右上方、左下方、そして一気に右へ捻る。

 物使いが荒いと文句を垂れる様な音がコックピット内を満たす。

 敵とすれ違った直後、相手が照準に入ってくる。

 相手はまだこちらに向き直りきっていない。

「Present For You!!」

 ガトリング砲の猛連射でクラゲ型のモンスターがびくびくと踊った後動かなくなった。

 爆発はしない。

 爆発するような燃料も武装も積んでいないから。

「さぁ次っ」

 下方少し右から向かってくる個体がいる。

 今度はWV(ワイバーン級)

 機体をゆらゆら揺らしながら近付いていく。

 敵の攻撃を避けながら、こちらも撃ちながら。

 お互いに多少の傷を負いながら、間近まで接近。

 右旋回、相手も同じ方に来る。

 下、また相手と進路が重なった。

 このままの軌道ではぶつかる。

 だが。

「もらい!」

 その時、ナキの戦闘機の両翼の先端から輝く何かが伸びていった。

 ぎりぎりで敵との衝突を避け、輝く翼で敵を切り刻む(、、、、、、、、、、)


 一つ、地球上で使用していた戦闘機と決定的に違う所があった。

 それは、【光翼】を装備している事。


〈DDCF〉初代部長・七星の最高傑作。

 火星圏を失い、月軌道上の【アイギス】までも失いそうになった人類を救った、最強の近接武器。

 範囲は左右それぞれ機体二つ分程度まで伸びる。

 加速させた粒子で何物をも切り刻む刃を作り出す仕組だ。


 即【光翼】を解除、次の獲物を探す。

【スクーラル・スター☆】のメンバーは全員小破~中破で一人も欠けていない。

 その後も終始優勢のまま【アイギス】防衛部隊が襲撃者達を撃退した。


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