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クルーウェル・ワーカーズ  作者: 七篠敏明
13/16

[殲滅] : 上空からの一撃

バスッ!鈍い音が響きわたる。

鷲の鋭利な翼が胸を直撃し、上半身を真っ二つに切り裂いた。


しかし攻撃を受けたのはルークではなく、甲冑の男だ。ルークは倒した甲冑の男を素早く引き起こし、攻撃を危うく防いでいた。


持久戦に持ち込まれると不利だ。攻勢に出るとしても本体に近づかなくては勝機は無いだろう。


「ヒハハ!怯えろ!蛮勇の愚ゥ!」


鷲が勢いを弱めずに追撃する。今度は垂直に近い角度からの強襲だ!防ぎ難い!ルークは咄嗟に防壁を真上に出現させる。


バシッ!

軋むような嫌な音が響く。

鷲の一撃を防ぐことはできたが、防壁にはヒビが入っていた 。


「フハハ、どうした、防壁の強度が先ほどより弱くなっているぞ!どこまで耐え切れるゥ!?」


ルークは数歩下がって距離を取る。

「逃がすかよ!トドメだ!」

鷲はその動きを補足し、再び男の真上に舞い上がった。


そこだ


ルークは全力で男の方に駆け出す。


「カウンターか!?しかしゴイルの方が速い!」


ルークは跳躍した。先ほど出した上向きの防壁を全力で蹴り、さらに高く舞い上がる。防壁は砕けて粉々になりながらライ麦畑へと舞い散った。


「何ィ!?跳んだァ!?」


ルークは漆黒の鷲と同じ高さまで達すると、スプリッターで嘴から一直線に切り裂いた。猛禽類は上昇し切ったタイミングに一番隙があると読んだ通り、鷲は抵抗なく両断(スプリット)された後、再び黒い"もや"へと形を変える。しかしルークの攻撃はこれで終わりではなかった。


落下が始まる。

剣を構えた男の元に・・・!


高く跳躍したポテンシャルエネルギーを余すことなく速度に変え、ルークはスプリッターによる一閃となった。男が反射的に剣を振ったが、ルークの一撃は男の胸へと突き刺さった。


「グガッ・・・」

ドス、と男は後方に薙ぎ倒される。


男の上に乗る形で着地したルークは即座にスプリッターを引き抜き、血の付いた刃を振り抜くことで血抜きした。スプリッターの刃が光る。


「その・・・ナイフ・・・お前は・・・伝説の・・・葬儀屋・・・?」

男にはまだ息があった。

「フフ・・・また"ファミリー"に・・・楯突く気か・・・」

「また・・・?」

「若き葬儀屋よ・・・覚えておけ・・・"ファミリー"は容赦しない・・・」

男はそう言って絶命した。


ルークは急いでクレアの元に駆け寄る。肩甲骨に矢を受けているが、幸い軽症だ。感染症にさえ気をつければ大丈夫だろう。出血を防ぐため、矢は引き抜かず、パキリと折った。

「うぅっ・・・!」

クレアが喘ぐ。

「すまない、痛むか?家で手当てするから背中に乗れ。」

ルークはクレアを背負う。

「大丈夫だよ、私・・・歩けるから・・・」

「・・・素直にお荷物になってろ。」

「むぅ・・・わかった」

クレアは渋々納得した。ジェンキンスが心配なのもあり、強がりに付き合っている時間はない。

「・・・どうして家と別方向に逃げた?」

歩きながら背中のクレアに尋ねる。

「私・・・尾行に気づかずに・・・間抜けだよね・・・。ルークとアルバートさんに・・・迷惑かけられないから・・・。」


クレアの華奢ながら柔らかい体の感触と、肌の温もり、胸の鼓動が背中越しに伝わる。確かに、生きている。ルークはそれだけで淡い幸福感に包まれるのを感じた。


「無茶しやがって・・・でも最後には尾行に気付いたんだろ、お前は良くやったよ。」

「私に見つけられないものなんて・・・」

そこまで言いかけて、クレアは涙声になっていた。

「私さ、自分が有能な人間だなんて言っちゃったけど、そんなの嘘。優秀なクレアなんて、どこにもいないの。」

「・・・なんとかアカデミー主席卒業なんだろ?」

「それは本当。でもね、勉強だけできて実務はサッパリ、そんな奴なの。強がって背伸びして、しくじった・・・。最低だよね・・・。」

ルークはクレアの告白を黙って聞いた。

「手柄に焦ってさ、でも成果はあった。舞い上がっちゃったんだね・・・。ごめんなさい・・・。それからありがとう・・・助けてくれて。」

「やけに素直だな、お前らしくもない。」

「これで最後かもしれないからさ、こんな時くらい素直にならないと・・・なんてね。」

「最後?」

「私の失敗が商会に知れたら担当を外される。たぶん商会からも追い出されると思う。」

「追跡者は全員片付けた。シラを切れば証拠はないさ。」

「アンタは・・・報告しないの?私のせいで両親の仇に逃げられるかもしれないんだよ?」

「いくら逃げてもまた見つければいい。・・・探し出せないものは無いんだろ?早く証明してもらわないとな。」

「・・・バカ・・・・・・・・・ありがと。」

クレアは強くルークの背中を抱き寄せた。


ルークは可能な限りの速度で隠れ家に向かった。クレアは無事だと、早くジェンキンスに報告したかった。勢いよく扉を開ける。

「ジェンキンス!戻ったぞ!クレアも助けた!」


しかし、いつまで経ってもジェンキンスの返事はなかった。

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