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8,心海-sinkai-
「心海-sinkai-」
そっと風が手をなでる 彼方へ浮かぶ地平線
僕は見下ろすと高速の円柱の如くそこにある海が眼に入った
青が広がっていく 鮮やかに水面から顔を出せば
全身を包む太陽の光 彼女は僕にウィンクをした
今僕の心に広がる深海 その心の中に入っていくようで
気づけば全ての景色が上昇していく 僕は闇へ落下していく
落ちている景色の中で全ての記憶が鏡に映し出される
古代文明に逆らった明後日の仲間 時間を裏切った始まりの反逆の淑女
静かに花火を眺めるいたいけな少女 上昇〈assension〉を扇動する宗教家
全ての記憶が鍵となってドアをこじ開ける 差し込んでくる眩しい光
僕はそれに包まれた
目覚めれば見事な大海 僕は記憶の後遺症で浜辺をふらふらと歩く
浅い波は打ち寄せる浜辺に僕は倒れる 海水が優しく僕の廻りを避けて砂に吸い込まれていく
僕は最期に僕の眼で太陽を見る 視界は確かに幼き頃映画で見た太陽と同じ色をしていた