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7話 とある冒険者の日記

『とにかく人手が欲しい。

いくら金を払っても構わない、

アイテムを運ぶだけでも構わない。

命は我らが守ります。』


そんな募集広告をバーに

貼って貰って一週間、

一人の地球人が来た。

暗い雰囲気の男、

ギフトも持っていない地球人、

誰でもいい。

荷物持ち一人でもいれば、

かなり助かる。

そんな気持ちで彼を雇った。

あのダンジョンを攻略するために。


彼は以外に腕がたつ、

と言うかかなり強い。

鍔の付いていない刀で、

モンスターと戦っている彼の姿は

鬼が乗り移っているかのようだ、

バッサバッサと敵を切り裂いて倒していく。


彼の強さのお陰もあり、

最下層のボスにたどり着いた。

ソーンドラゴン

全身に太いとげを持つドラゴン、

戦ってドラゴンを弱らせ、

あと一歩というところまで来たのに、

パーティーは満身創痍、

ここで我らの人生は幕を閉じると思った時、彼のギフトが覚醒した。


彼は唱える。


『犠牲の先に立つ者』


彼の身体は光りに包まれ、

光の粒となり消え失せた。


私たちの傷は癒え、

魔力も体力も回復していた。


彼のお陰でソーンドラゴンを

倒すことが出来た。

歴史に語られないのであれば私が語ろう。


ただ、ダンジョンの奥にあったアイテムは


『中和麦』


かなりレアではあるが、

役に立つものではない。

効果はあらゆる中毒を消し去る。

キュアの効果を持ったただの麦の穂。


我らの救世主が命をとして

手に入れたアイテムがこんなものとは、

残念な気持ちになる。


彼と同じ地球人の夫婦が

経営するカフェがある。

彼の勇姿を伝えるには

同じ地球人の方が良いだろうと思い

オーナー夫婦と客で来ていた地球人に話す。遺品として麦の穂をプレゼントしたら

客の方の地球人が


「私が育てて増やす」


と意気込んでいる。

どうやら地球ではこのアイテムは

かなり役立つらしい。

我が友の話を聞いたオーナー夫婦は

感動したのか、

滝のように涙を流していた。


これで彼の魂も少しは報われることを祈る。


敬意を込めて彼の勇姿を称える。


私たちの命の恩人の魂が

安らかでありますように…

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