6話
また何かあればいらっしゃってくださいとウエイターに見送られ、フラフラなまま帰路につく。
関わりたくない。関わりたくない。できれば関わりたくないのに。このままじゃいけないということだけはわかる。
自宅につき、ボーッとしたまま手近な椅子に座る。テレビをつけるとお笑いをやっていたが、特に笑う気にもなれず、右から左に言葉が流れて行くだけだった。
最初から警察に言いに行こうと決心するのはなかなか難しく、まずは弁護士さんに相談に行くことにした。
証拠も何も無い話しをまともに聞いてくれるだろうか。
できれば関わりたくないのに、普通に考えたら有り得ない出来事なのに、そんな事をまともに考えて行動するなんて。
色んな考えが巡り、グルグル渦を巻く。
考えても考えても答えがでないが、なんとなくこのままだとダメだということは直感的に感じる。
もう、いいや行動してしまえ!と思い切った時には弁護士事務所に電話していた。
そしてアポイントメントをとり、気がついたら約束の日がやってきて、弁護士事務所の前に立っていた。
ビルの一角にある弁護士事務所の入口をノックし、どうぞと言われ、恐る恐る扉を開ける。
「ご予約はされていますか?」
20代くらいの綺麗な受付の女性から声をかけられる。
「はい。溝野 鈴です。」
「溝野様ですね、確認できました。こちらへどうぞ。」
受付の女性が窓口から出てきて、相談室に案内される。
「こちらで少々お待ちください。弁護士が来ますので。」
「はい、わかりました。」
相談室は広く、壁一面に本棚が並べられている。長テーブルが2つに、椅子が4脚置かれていた。
「どうぞ奥に座ってお待ちください。お荷物は椅子の上で結構です。それでは失礼します。」
「ありがとうございます。」
言われるがままに奥の椅子に腰掛け、隣の椅子に置く。
ドキドキしながら待っていると、暫くしてノックと共に、弁護士バッチを付けたやや老齢な男性が入ってきた。
「初めまして影山と言います。」
「溝野です。今日はよろしくお願いします。」
影山弁護士は挨拶をすると、慣れたように向かいの席に座る。
「今日はどのようなご要件か改めて教えて頂けますか?」
「はい。」
女子高生殺害事件の事と、ストラップの話しを行う。
ひとしきり話しを聞いてくれた影元弁護士に、警察に言いに行った方がいいですかね?と相談すると、気にしなくていいと思いますよと言われた。行っても行かなくてもいいと思います。気になるなら行っても良いけど、行かなくても良いと思いますけどねと言われた。
「疲れた。」
自室のベッドに倒れ込み、今日の出来事を反芻する。
半分ちょっとくらい、それは警察に言った方がいいと思いますねと言われるかと思っていたが、言われなかった。
あんなにも覚悟して言ったのに、拍子抜けだった。
私だってできれば関わりたくないのだ。
気にしなくていいなら気にしたくない。
関わりがある人とすら思われたくない。
今日の弁護士相談料だけで済むなら別に良い。
働いてるから問題は無い。
気持ちはスッキリできた。
もう関わりたくない。
そう思い眠りについた。




