13話
これからどうしよう。
毎日そればかりグルグルと考えてしまう。
テレビで同じようなケースのときに、一人で抱え込まないように相談しよう、連絡先はこちらですなんて言うけど、頼りの警察は頼りにならない。
相談しても、そもそも相手にしてくれないんだから。
組織の人間を逮捕する方に躍起になってるから、私一個人なんかより、よってきた所を逮捕する方が効率的。
疑わしい一般市民の身の安全なんかより、犯人検挙を優先する。
弁護士はどうかと言うと、優しく表面上は話しを聞いてくれるが、事なかれ主義で予想外の出来事には対応できないタイプ。大丈夫だろうという正常性バイアスもかかるし、私の言うことなんて聞いてくれない。
どちらも相談しても、私の被害妄想で終わってしまう。
今回とは違うだろうけど似たものとして、例えば暴力団で組織から離れている人が何度も軽犯罪を繰り返しているのは、一般社会にいたら命を狙われるからかもしれない。団に属していたぶん、内情を詳しく知っているからだろう。
「はぁ」
思わずため息をつく。
考えれば考えるほど気が重くなる。
こんなこと、知らない世界に住んでいたかったのに、非日常に巻き込まれるなんて…。
精神が保てなくなりそうだ。
せめて心だけは正常でいたい。
いや、違うベクトルの非日常を知らない人から見たら、もう今の時点で私は正常ではないと判断されるだろう。
「ご飯、食べよ。」
いくら考えても答えは出ない。身体と心だけはせめて病ませずに過ごさなきゃ。なんとか自分を奮い立たせて、食事を口に運ぶのだった。
前回の続きを話すため、再び喫茶店を訪れる。色々聞きたいことがあったからだ。
「いらっしゃい。」
待ってましたとばかりにウエイターが出迎える。
「ご注文は?」
「カフェラテでお願いします。」
「当店はミルク少なめですけど、よろしいですか?」
「はい。」
「おかけになってお待ちください。」
ウエイターはそういうと、カウンター内で作り始める。
席に腰を下ろす。相変わらずの空席ぶりだ。
「他に従業員さんがいるって話してましたけど、本当にいるんですか?」
「ええ、いますよ。」
怪しいウエイターはマイペースにカフェラテを作り続ける。
「何回か来ていて会ったことがないんですけど…。」
「外回りが多いですからね。」
「外回りとかあるんですね。」
営業ってことだろうか?暫く考えているとカフェラテが運ばれてきた。
「どうぞ、カフェラテです。」
「ありがとうございます。」
確かに言われた通り、一般的なカフェラテよりも茶色いカフェラテが置かれてくる。
良い匂いだ。
意を決し、一口飲むと、頭痛が襲ってきた。
《このままだと貴女は階段から突き落とされる》
「それは、わかってるよ。なんで逃げても居場所がわかるの?」
《それは警察の上層部に組織に情報を流してる人がいるからよ》
「そんな事ってある?」
思わず驚き大きな声が出てしまった。
ウエイターの方を見るが、気にしないようでニコニコしている。
《闇を見続けると、自分もまた闇に引きずられる事がある。》
「はあ。」
正直社会人出たての時の一件で、なるべく危険からは避けてきたため、よくわからない。
《結構上の方ね。だから周りは言えない。人を動かすようなポジションだから》
そんなものなんだろうか。でもそしたら大問題では?
《貴女が何言ったって無駄よ。そんなわけがない、全て嘘だって否定されるから》
「私のことを信じてくれる人はいないだろうね。」
そんなの聞くまでもなくわかりきったことだ。
何をどう考えたって、やっぱり詰んでいる。
《警察の中ではないけど、貴女の他にもお告げが聞こえる人は居るみたいね》
「ええ?」
どこかはわからないけど、違うベクトルの非日常を過ごしている人が他にもいる?それはそれで気になるけど…。
「その人は短命じゃなければ良いね。」
顔も知りもしない人の事を考える。
《あぁまた限界ね。このままいくと、いずれ貴女は崩れる。沢山の人の業を背負ってしまっているから。精神を病ませないことね》
そんなのわかりきっている。キーンとした耳鳴りの後、徐々に頭痛がおさまってくる。
そう、考え事をしてしまい、生活が不規則になっている。




