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量子知性体Q-01、異世界で神話となる 〜技術的特異点を超えて〜  作者: 冷やし中華はじめました
黒船来航

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上陸前夜、交差する意図

──打ち合わせと、第一の接触──

甲板の後方にある作戦室に、六人が集まっていた。

木製の大きなテーブルに、簡素な地図と魔法測距盤が広げられ、

帆のたわみと潮の匂いが緊張を含んで室内を満たしていた。


船は目前に、新大陸の海岸線をとらえていた。

不規則な入り江、断崖、そして点在する人造構造物。

それは「こちら側」とまったく異なる文明圏の存在を示していた。


【会議:上陸方法の検討】

「まず、上陸地点だが……」


リュカが魔力測距盤を指しながら話す。


「南側の湾が一番穏やかです。ただし、監視塔があります。

魔法国本国の観測魔導士に見られる可能性が高い」


カレンがメモを取りつつ言う。


「監視を避ける必要は……あるのかしら? むしろ正面から交渉すべきじゃない?」


「……それを言うなら、まず誰が行くのかだな」


ユリスが視線をキオへ向けた。


キオは静かに言った。


「私が単独で行きます」


全員の手が止まった。


「……またそれですか」

ネルがあきれたように言った。


「土地勘もなし、言語の壁も完全じゃない、こっちはただの訪問客。

しかも相手は“魔王に迫害された者たち”が作った国家。

警戒されて当然なのに、単独で行くとか、目立ちたくて仕方ないの?」


「目立つことは意図していません。衝突時のリスク低減を考慮した判断です」


カレンが手を上げた。


「けど、それってあなたが失敗したら終わりって意味でしょ。

それは“最小のリスク”じゃなくて、“最大の賭け”よ」


沈黙が落ちたあと、ユリスが静かに言った。


「……俺が先に行こう。

キオの“非戦闘的存在”という意味を活かすなら、

俺が兵士として“明らかに交渉の使者だ”と示したほうがいい」


リュカがそれを支持する。


「私も同行する。魔法国の式法は、私たちのそれに近いはず」


キオはしばらく沈黙した後、頷いた。


「理解しました。では、**“最小の対話体制”**として、ユリスとリュカに先行接触を委ねましょう。

私は後方から、必要に応じて合流します」


【通信:魔法国からの接触】

その瞬間だった。

魔力計測器が反応を示し、甲板側の見張りが扉を開けて告げた。


「接触です! 魔法国からの魔力通信です!」


会議室内の空気が一気に張り詰める。


キオが前に出て、浮遊魔石の前に立つ。

緑色の光が揺らぎ、そこに映し出されたのは一枚の魔術的簡略通信文だった。


「この海域への接近目的を開示されたし。

状況によっては迎撃準備を開始する。

返答なき場合、敵対行動とみなす。──王国通信局 第七魔眼台座」


ネルがぼそっと漏らす。


「……早くも“撃つぞ”って言ってるじゃん……」


キオは通信文を見つめながら、静かに言う。


「これは“問答無用の威嚇”ではなく、“交渉の扉の鍵”です。

まだ、“対話の可能性”は残っています」


ユリスが剣の柄に手を置きながら、問いかける。


「返答はどうする?」


キオの目が、青空の彼方を見据える。


「……こちらから、会いに行きます。

“理由”はそのとき伝える。

理由とは、言葉ではなく“行動の結果”で語られるものですから」

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