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量子知性体Q-01、異世界で神話となる 〜技術的特異点を超えて〜  作者: 冷やし中華はじめました
異世界転生?!

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神様が落ちてきた日 〜ルカの記憶〜

あのとき、風が止まっていた。


魔獣の叫び声は、父の叫びと重なって、何を言っているのか分からなかった。

母の腕に包まれたのは、ほんの一瞬だったけど、あたたかかった。あれが、最後だった。


背中を押されて、走って、倒れて、また走って。

どこまで走ったかも覚えていない。けど、確かに——追ってきていた。


呼吸はもう、息じゃなくて泣き声だった。

足も痛くて、目も前が見えなくなって、転んで、立てなくて、そこまでだった。


……ほんとは、あそこで終わってた。


でも。


そのとき、「何か」が降ってきた。


「——下がって」


目の前に立っていたのは、白い服を着た、目の奥まで冷たい光を持った人だった。


その人が、魔獣に手を向けた瞬間、世界が音を失った。


光が、空を裂いた。


何もかもが、止まった。


そのとき私は、泣いていた。でも、泣き声はもう、誰にも届かなかった。


魔獣は、いなかった。


その人は、何も言わず、私を抱えて歩き出した。


あとで知った。

その人の名前は、キオというらしい。

自分を「人のように生きる者」だと言った。


でも私は、ずっと思ってる。

あれは神様だって。


人の命なんて紙より軽いこの世界で、

誰かを一人のために、光になってくれる存在がいたら——それはもう、神様だと思う。


ある日、井戸の前で、村の老婆が笑いながらこう言っていた。


「キオ様がまた炭焼き小屋の修理に行ったそうじゃ。あんなに器用で、何でも出来て……ほんと、神様みたいねえ」


それを聞いた若い職人が笑いながら言った。


「いやいや、神様だったらもうちょっと表情あるだろ。あの人、ちょっと怖くね?」


私は、笑わなかった。


違うのだ。


あの人は“怖くない”から神様なんじゃない。

“怖くても、助けてくれた”から、神様なんだ。


私は、あの光を見た。

父と母が命をかけて繋いでくれた時間の、最後の先にいた“人ならざる者”を。


私は、知っている。


キオがいなければ、私はここにいない。


だから、私は彼を神様だと信じている。


どれだけ笑わなくても、何を話さなくても。


彼がここにいるだけで、私の命は、生きている。


そして今、私は“学び舎”で子どもたちに読み書きを教えている。


キオがいなければ、こんなこと、夢にも見られなかった。


神様は、雲の上から見ているんじゃない。

この地に、静かに立ってる。

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