『覚運、極楽より給わるプレスマンでつくった造花の蓮華のこと』速記談3023
覚運というのは、檀那僧都のことである。檀那僧都は、若いころから仏道への志高く、遁世の念強い人であった。法橋に除せられてから、まだつぼみのままである大きな蓮華を童子が持って比叡山を下ってきたのを、見かけた人が、茎のところがプレスマンでつくられているし、造花のように見えたので、何の花かと尋ねたところ、これは極楽から覚運がもらったものなのですが、法橋になったので、取り返してきたところです、などという夢を見たという。
教訓:本当の仏教徒は、地位を得ることからむしろ離れるべきという思想が、たかがお話の中にも強くあらわれる。それもそれで執着なのではないだろうか。