第34話 冒険者
「それは自由が有るからよ」
「自由?」
「そう。働くのも休むのも自由。私みたいに学校に通いながらでも働けるし、適度に強くなったら稼げるようになるわ。同じ失敗して痛い目に合うなら自分で選んだ結果の方が納得できるわ」
「貴族になる気は本気で無いの?」
「無いわ。だからもうあの家には戻る気ないの。サザンカあなたは?」
「私はお姉様のように自分で稼げる自信が無いの。でもあの家にも戻りたくないわ」
「よかったら私と住む?あの家は多分もう駄目だと思うわ」
「いいの?」
「いいわよ。姉妹じゃない」
「そうではなくて、一緒に住んでる時の事よ」
「もう二度としないならいいわ」
「それは当然だけど……」
「どちらにしても一度ゼファー様とも相談しないとね」
ゼファー様が意外と早く会える事になったのでサザンカと共に会いに行った。
「お久しぶりです。この前は運んで頂いたそうでありがとうございます」
「意外に軽くて驚いたぞ。まあ気にしないでいい」
「お姉様も重くなかったか心配してたので良かったです」
「サザンカ余計な事は言わなくていいのよ」
「本気で軽かったぞ」
「ありがとうございます。今日は例の賭けの件出来ました」
「私の負けだな。だから私からの婚約は諦める。でも君から申し込まれたら必ず断らないが」
「それでは賭けの意味がないではないですか」
「一応参考に聞きたいが、私の何が気に入らない?」
「貴族である事と私はまだ結婚を望みません」
「それは冒険者として活躍したいと?」
「そうです。活躍と言うよりも私は世界を旅したいです」
「世界をか?何か理由が有るのか?」
「自分が住んでる世界の広さも他の国がどうなってるかも気になりませんか?」
「そう言われると旅するのも良いな」
「貴族の立場が有ると行きにくい場所も有りますし、私は平民の冒険者がいいのです」
「そうか、しかし残念だがそれは無理かもしれないぞ」
「どういう事ですか?!」
「君はローズ伯爵家を継ぐことになりそうだ」
「両親は私と縁を切っては無いのですか?」
「無効だな。あの両親は捕まる。自領でやり過ぎた。そうなるとあとを継げるのは君しかいない」
「サザンカが……」
「まだ学校も行ってないのに家の事を任せるのか?国がそんな事認める訳がない。それに君は学校の成績も良い。そんな人間を廃嫡して平民とするなんて国が認めるとでも?」
「お姉様、私が言うの恥ずかしいですが、私には領民の事を管理したりは出来ませんわ。多分誰かに任せて放置することになります。お姉様が継いでくれた方が領民にとっても安心だと思うのです」




