第25話 どちらが大切?
「ゼファー様申し訳ございませんが私に来客のようなので、これで失礼いたします」
「逃げられると思っているのか?」
「逃げでは有りません。面会に来られた他国の方をお待たせするわけにもいきませんし……」
「そうか。そうだな。なら私も会おうか。私の婚約者が世話になったようだしな」
結局少し広めの部屋を借りて皆で会う事になった。
「皆来てくれてありがとう。今日はちょっと色々有ってごめんね」
「私は此方のツバキの婚約者であるゼフィランサス辺境伯家のゼファーだ。うちのツバキが色々世話になったそうだな」
「いやそんなこと有りませんよ。私はカゼと言います。西の果ての小さな国の者です。こちらが道に迷って居た時道を教えてくれたり食料を分けて頂いたり助けていただいたのは此方の方です」
「そうなのか。ではツバキに対し恋愛感情などはないと言う事だな。それならばこの国を楽しんで帰ってくれ」
「私達は冒険者のツバキの友として会いに来たのですが」
「彼女はこう見えても伯爵家の人間でな……。そして私の婚約者でもある。婚約者を簡単に他の男と会わす訳にはいかなくてな。適当な案内を付けるから観光でも楽しんでくれ。私同伴ならツバキと会うのも許そう」
「急にどうしたのですか?賭けに負けそうだから焦ってるのですか?良いじゃないですか、賭けに負けても可愛い妹と結婚できるのですから」
「君の妹は魔法が使えるのか?使えないなら意味がない」
「結局欲しいのは魔力ですか?私は冒険者ですから男の人と一緒に仕事することも有るでしょう。でも二人きりで会う事はしておりません。これ以上を求められるのならここを飛び出し冒険者として生きていきます」
「ま、待て。分かった。そこまでしなくてもな。二人きりでは会わないのだな?変な所にも行かないな?」
「変な所って?」
「それは、その。男と女が仲良く一緒に過ごすような……」
「何考えてるのですか?私恋愛とかする余裕ないって言ってましたよね?もう少し理解のある方だと思っていました。私に監視を付けているのだから今までだって分かっているはずですよね。それでもまだ言いますか?」
「すまない。少し婚約者を取られそうだと焦っていたようだ。最近人の婚約者に手を出す奴も居てな。少し言い過ぎた。出来たら忘れてくれ」
「まあ素直に謝って頂けたので今回だけは聞かなかったことにします。では皆さんと少し遊びに出ても良いですよね」
「待ってくれ。こちらから人を付ける」
「まだ言いますか?」
「違う。お詫びに晩飯を奢ろう。どこでもいい。金は持たせるから」
と言いながらそれも監視だろとという言葉は食欲の前に敗北し言えなかった。




