5 散財は伯爵夫人としての役目です
「そうねこのブローチを頂こうかしら?」
緑のサファイアがついたブローチを見ながら言いました
・・・手で示すなんではしたないことはしませんことよ?
ごきげんよう
グーフィー伯爵夫人ですわ
ただいま絶賛浪費中ですわ(笑)
旦那様は愛人に、仕事に、領地経営に、と忙しくされています
放置プレイの伯爵夫人は暇を持て余してしまいました
という訳で街に出てお買い物ですわ
せっかく伯爵夫人として装うためのお金が用意されているのです
思い立ったが吉日、ですわ
いつ買うの?
いまでしょう?
そういう訳ですわ
執事のバトラーに言って馬車を用意させます
その間に侍女に頼んで外出着にお着換えしましたわ
着替えが終わったらお店に出発ですわ
伯爵家が懇意にしているお店に先触れを出した上で突撃ですわ
・・・迷惑をかけている自覚はあります
でもわたくしは伯爵夫人
やっても良い範囲でわがままをいうのがお仕事です(嘘)
お店に着いたら応接室に招かれてとりあえずお茶です
いきなり商談なんて無作法なことはしません
世間話の後、今回の買い物の背景やら予算やらをすり合わせをします
そうすれば好みのものが出てきますでしょう?
それに最近のトレンドについての情報収集も大事でしてよ
宝石商から根掘り葉掘りトレンドやら最近の貴族家の購入状況を聞き出しましたわ
・・・もしも夜会で被ったらとんでもないことになりますからね
え?
夜会にでてないじゃん?
いいんですよ
女は噂話が好きですからね(苦笑)
それに伯爵夫人として購入したものはすべてわたしの個人資産になります
もしもお飾りの夫人が不要になったといきなり切り捨てられても宝石があれば大丈夫
売ればしばらくは一人で生きて行けますよ
という訳で暇にあかせては街中の店を見て回り散財する予定です
・・・旦那様の財布から出ているかと思うと高額な宝石を買っても全然罪悪感がありませんでしたわね(笑)