表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とらんす!  作者: かなた
6/12

Day 4.聡と遥の心配~それぞれの想い~

 ――カオリのやつ、大丈夫だろうか?


 昨日行った神社で、急に様子がおかしくなったカオリ。何があったか分からないだけに心配しているのだが。あの後何も音沙汰がない。


 ――1人になりたい


 昨日最後にカオリが放った一言。何もなかったわけがない。けれど、その言葉に従うなら、あいつが独りで答えを出すのを待つしかないのだろう。


 ふと、カオリの胸を思い出してしまい、己の煩悩に嫌気がさす。


 カオリの笑顔や喜怒哀楽の表情。潤んだ唇。


 危うく暴走しそうな本能に自己嫌悪を覚えながら、


「俺はっ!! カオル(あいつ)にっ!! 元に戻って欲しいんだっ!!!」


 誰にともなく言い聞かせるように小さく叫んだ。


 くそっ!


 短く吐き捨て。


 俺は!!あいつが元に戻る為に全力を尽くす!!そう決めたんだ!!


 固い決意を込めて誓う。どんなにカオリが可愛くとも。俺はその意志を貫いてみせる、と。


 ◇◇◇◇


 ――カオリ、大丈夫かな?


 1人になりたい――


 そう言ってカオリが神社から去ったのが昨日。その後連絡もない。


 正直、心配で堪らない。


「なんでこんなに不安になるんだろう?」


 カオリが元に戻らなくなったら、って思うからかなあ?


 カオリが元に戻らなかったら困る理由を考えてみた。


「カオルの事よろしく、っておじさんとおばさんに頼まれてるのに……!! このままじゃ合わせる顔がないじゃない!! それに……。」


 それに?


 今までカオルと過ごした思い出が次々と蘇る。何だか懐かしくて、甘酸っぱい気持ちに……は多分なってないけど。


 こんなに胸が痛むのはなんでだろう。


 さっきから何度もタップしかけてやめる通話ボタンを――


 えいっ!!


 思い切って押してみた。


 プルル、プルル――

 プルル、プルル――


 なかなか出ない。


 そろそろ切ろうかな?


 そう思ったその時。


『遥?どうした?』


「えっ、あっ、カオリ? ……えっと……大丈夫??」


 突然繋がった電話に戸惑いながら、恐る恐る聞いた。


『うん、何とか落ち着いた。』


 その答えに心底ホッとした。けれど――


『さっきさ、直人から連絡あってさ。久しぶりに会ってくる。』


「えっ?!」


『あいつも女癖は最悪だけど、良い奴なんだよ。一緒に元に戻る方法考えてくれるって。』


 脳裏によぎる嫌な予感。さっきカオリも言ったが、直人あいつはガチで女癖最悪な男だ。しかもカオルと違って同性からもいい噂を聞かない。カオルは男だった時仲良かったみたいだけど、今のカオリがあんなクソ男に会ったら!!


「ちょっと、それやめた方がいいって!! アンタ今自分の状況わかってんの?!」


『大丈夫だってー! あいつ俺が男だってわかってるしさ。』


 ……ダメだ、全く危機感の欠片もない。こうなったら!!


「カオリ、明日いつどこで直人に会うの?」


『えっ? 19時にパチ公前だけど…。』


「そう、分かった。くれぐれも気をつけてよ??」


『だーいじょうぶだってー!! 遥は心配性だなあ。』


「はいはい、じゃあまた今度ね!」


『うん、またね。』


 プツッ、ツーッツーッ。


 とりあえず、急いで対策を打たないと、カオリが危ないかもしれない。


 私は取れるだけの手を打つべく、動き出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ