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[幕間]:外気に遷る内輪話 Action 12.99

「君の言う通り、少し威厳を見せつけただけで相手は引いてくれたけどさ…、僕もそんなに若くないんだから、あまり無茶はさせないでくれよ。」


「とか言って、春一さんだって当然助ける気はあったんでしょ?」


「それはそうだけど…、あの場に君の妹はいなかった訳だし、通行人のフリをした君があの子達を助けても良かったんじゃないか?僕を勢いよく押し出す必要はなかったと思うけど…。」


「ごめんね、そういう訳にはいかなかったんだ。春一さんだって彼女達の反応を見て気づいていたんでしょ?()()()()()()()()()()()()()だって。」


「あぁ…、やはりそうか。」


「それと…、春一さんには詳しく言ってなかったんだけど、俺が接触してはいけないのは、実は妹じゃなくて()()の方なんだよ。」


「彼女?」


「そう。俺が妹と顔を合わせたくないのは単なる我儘。だけど彼女と顔を合わせることは徹底して制限されていたんだ。」


「制限って…、一体誰に?」


「俺の秘蔵のパートナー。まぁ一度だけ顔を合わせることは許されてたから、もしかしたら今が本当の使いどころだったのかもしれないんだけど…。」


「つまり()()()()()()()()()()()、君はあの子と顔を合わせしまったということなのかい?」


「そういうこと。って言っても、あからさまに正体を現した訳じゃないよ?自然にと言うか…、事故的にと言うか…、簡単に言えば『成り行き』ってことになるのかな?」


「そんな不自然な形で()()()()を使って良かったのかい?『制限』って言葉の意味合い的に、君はもっとあの子に会いたいと思っている…ってことじゃないのか?」


「流石春一さん、鋭いね。だけどその制限ももうすぐ無くなるはずだから、俺は気長に()()()を待っていればいいんだ。」


「君も随分変わり者だとは思うけど…、その君に制限をかけられる人物がいるとは…、中々興味深いね。僕にはその人を紹介してくれないのかい?」


「ごめんね、紹介したくても今は無理なんだ。その時が来れば、きっとあの人の方から『会いたい』って言い出すと思うから、それまで待っててくれないかな?」


「それも訳ありってことか。勇編の訳ありにはもう慣れてしまったからなぁ、待つくらい何ともないよ。」


「ありがとう。そのときはまたお寿司でも何でも御馳走するから、気になるお店があったら教えて貰えると助かるな。」


「相変わらず気前が良いね。ところで、何で今日はこんな場所で食事をしようと思ったんだい?いつもなら、こんな人通りの多い場所と時間は選ばないだろ?」


「この近くで仕事があったんだ。折角なら出不精の春一さんを連れ出して、一緒に人の居る空気を吸ってみようかと思って。」


「出不精はお互い様じゃないか。むしろ君の方が、心配になるレベルで外出してないと思うけど?」


「そうだね…。正直『今が山場』と言っても過言ではないから、打ち合わせも納品も…全部家の中で済ませて時短させる最中だよ。」


「それでも今日は家から出ないといけなかった…と?」


「現場の確認がノルマだったからね…。こればっかりは生身を動かさないとその場の空気は味わえないし…、仕方ないよ。」


「……。さっきの話はナシにしよう。今度食事するときは僕が君に御馳走するよ。たまには君を労う形でで会ってあげないと、どこかで壊れてしまいそうだ。」


「心配し過ぎ…って言いたいところだけど、俺は春一さんの過去を知っているから、その言葉の意味もちゃんと理解できるよ。」


「……。」


「俺の命を心配をしているでしょ?多少無茶をしているように見えるかもしれないけど、俺にはやることがまだ沢山残っているから、命を削るような真似だけはしないよ。」


「本当に勘弁してくれよ?妹を託したことが伏線だったなんて思いたくないからな。」


「大丈夫。妹に誓って、そんな裏切りはしない。それに…、俺は春一さんから食事に誘ってもらえる数少ない仲間だと思っているからね。簡単にいなくなる訳にはいかないよ。」

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