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家族は...

えー物事が続かない筆者でございます。

何か一言でも感想を貰えるとモチベーションが上がります。

数メートル先も見えない程吹雪くこの場所に、1人の人が居た、毛皮の防寒着を羽織りソリに荷物を乗せて歩いている。


吹雪に逆らうように歩いているせいか、その速度はかなり遅い。


数歩先を歩く犬は主の身を案じ、足元まで戻ってきた。


彼女は、その犬の頭を撫で歩を早めた。




半年前....


「おーいテルク~来たよー」


誰も寄り付かない路地裏、そこに、ひょっこりと顔を出したコートのフードを被った少女。

しかし、限りなく人間に近い少女だが、普通の少女とは違い白い髪に白い肌、先端が黒い耳の雪狼族の少女。

ここは(つがい)の野良犬が住み着いていて、彼女はイヌ科の性なのか家族同然に思っている。


「あれ?居ないのか?」


いつもなら、直ぐに飛び出してきてじゃれ着いてくるのだが今日はそれが無い。

しかも、彼らは出産したばかりだ。遠くに移動する筈が無い。


「テルク~何処〜?」


しばらく路地裏を匂い頼りに探していたが、路地のそこらじゅうからテルクの匂いがしている。

まるで、何から逃げているかの様に。


「おかしい....私達と同じ聴覚嗅覚ならここにいれば直ぐに来てくれるはずなんだけど....」


すると、遠くから犬が吠える声。


「!ッ」


少女は手に持っていた物を、投げ出しその方向へ向かって走り出した。


彼女の種族は獣人種にあたり、一般的な獣人種の身体能力は、訓練された人間の軍人の5~10倍と言われている。

しかし、彼女はかなり訓練を積んでいる。その為、その能力もかなり高い。


「テルクッ!テルクッ!」


名前を呼びながら全力で走る。


路地裏に漂う、生臭い鉄の匂いを、彼女の鋭い嗅覚が捉えた。


すると


「おお、まだ立った!」


「ウッハ!マジかよこいつ!いい加減に諦めろよ勝ち目ないんだからさ」


「無理だろ、こいつら犬なんだから」


人が寄り付かない筈の路地裏から笑い声。


「犬」という、ワード


「テル....ク....?」


一瞬何が起きているか、わからなかった。

見覚えのある毛並みの犬が倒れている、あれはテルクの番の犬だ。

そして、それを守るかのように威嚇する。白い毛並みの犬、しかしその白い毛は血で染っている。


それをバカにするように笑う見慣れない服装の3人の男。


すると、ギャインと鳴き声をあげて吹き飛んだテルク。

男の1人に蹴り飛ばされたのだ。


地面に叩きつけられたテルクはピクリとも動かなくなり、彼女は走り出していた。


「テルク!起きてよ!起きて!」


「うぉ!なんだてめぇ!」


彼女は男の1人を突き飛ばし、膝を着いてテルクの身体を揺すっているがピクリとも動かない


しかし、彼女は男が何か言っているのを聞いていない、テルクという家族同然の存在の身を心配する。


「もしかして、飼い主さんですかぁ?ごめんなさいね~いきなり噛み付いてきたもんだから、思わず蹴り飛ばしちゃった。多分死んじゃったと思うからこれで許して?」


テルクを蹴った男は、ポッケットからなんの惜しげも無く金貨を5枚、彼女の方に投げる。


投げれた金貨は、彼女の膝元に転がってきた


「...ろす....」


「え?許してくれるっ」


その瞬間、バキッっと鈍い音が響いた。


彼女は、勢いよく飛び出し男の顔を殴っていた。

そのまま、後ろに吹き飛びそのまま馬乗りになり、殴りつける。


「殺す!殺す!殺すッ!!」


めちゃくちゃに殴りつける。


普通の人間なら、顔を殴られた段階で死んでいただろう。

しかし、彼は絶命していなかった。


「おい!何してんだ!」


取り巻きの男2人が彼女を羽交い締めにし、拘束する。


「離せッ!!」


彼女は歯を剥き出しにして威嚇し、振りほどこうと必死にもがくが、その拘束は解けない。


「ってぇ~....俺が勇者じゃなきゃ死んでたよ。まぁ、殴られたぶんは倍以上で返させてもらいますか!」


ドゴォッという重く鈍い打撃音


「ゴォッ...!」


彼の拳は、彼女の腹部を突き上げるかのように放たれ、湧き出る吐き気を必死で抑え込む。


技術なんてない、ただただ力任せの殴打。


「んー?さっきまで気づかなかったけど、君って獣人種だったんだァ」


自称勇者は、にたァと気味の悪いえみを浮かべた。


「たかが、犬殺されただけでここまでキレる1人初めて見たっス」


彼女を羽交い締めにしている男のひとりが、自称勇者に言った。


「まぁ、こいつ自体犬みたいなもんだし、仲間意識みたいなのがあったんじゃね?」


……『たかが犬だって?...許さない...許さない許さない許さない!!!!』


彼女がぐったりしてた為気が緩んだのか、力が緩んだの拘束を振りほどき、『たかが犬』と言った男を殴る...筈だった。


彼の胸に拳が届こうとした時、彼女は吹き飛んだ。

首を抑えられ、壁におしつけられている。しかも、片手だけで。


「調子乗んなよ?犬の分際で」


その瞬間、腹部に衝撃が走る


また殴られた。


「躾になってない犬は、しっかり躾しなきゃなぁ!」


「がハッ!!」


体が壁に押し当てられている為、衝撃が分散されずに、ダイレクトに響く。

そして込み上げる吐き気、今度は耐えられそうにない。


「ウッ...!」


何かを察したのか自称勇者は首を強く締め付けた。


「吐くな。俺の腕を汚すつもりか?」


食道を圧迫し、逆流を阻止されているが同時に気道と動脈も圧迫され、グルンッっと白目を剥いて気絶したが、直ぐに起こされた。


「おい、勝手に寝るな。」


そう言い、彼女の顔を殴る。

あまりの威力に、骨がミシミシと軋む感化がした。


その後、何も抵抗することは出来なかった。


殴られ、蹴られそれが暫く続き意識を失った。




 ―――――――――――――――――――――




「ん?どうしたチビ助?」


俺は警らの休憩の為、露店で買った食い物を近くの広場のベンチに座り食っていた。

すると、白い毛並みの子犬が半長靴の靴紐を口で引っ張っている。


「これでも食いたいのか?z」


手に持っている、串肉の肉をひと切れ差し出してみるが、どうやら違うらしい。


「もしかして、お前何処かに来て欲しいのか!」


そう思い、立ち上がると思った通り子犬は先導する様に走っていった。


「ちょ!チビ助待ってって!」


走る子犬は、人混みのせいで見失い易く、定期的に聞こえる鳴き声を頼りに追うしかない。


「退いてくれ!」


叫ぶように声に出しながら走る。


すると、子犬は路地裏に入っていった。


「はぁ...はぁ...はぁ...」


子犬の足は速く、仕事柄日常的に走っている彼ですら、息を切らしている。


路地裏の奥の方に進んでいく子犬に導かれるまま走っていく、何時しか人の気配は完全になくなり、嫌な予感が漂い始めた。


すると、子犬が唸り声を立てながら威嚇している姿が見えた。


子犬が見ている、通りを見ると3つの影が動いているのがわかる。

よくよく見てみると、その影は3人の男の物で何かを蹴っているようであった。


さらに見ていると、白い人の手が見えた。


「おい!お前達何をしている!」


「やべ!警ら隊の奴だ!逃げるぞ!」


すると、彼らは小袋を握り逃げていった。


「おい!君!大丈夫か!おい!おい!!」


彼は肩を軽く揺すり、反応を確かめるが、ピクリとも反応を示さない。


「ああもう!クソ!」


首の動脈に指を当て、脈を確認する。

脈はあるにはあるが、とても弱く今にでも死んでしまいそうだ。


すると、彼は『ファイアーマンズキャリー』という方法で彼女を担ぎあげて、路地裏を出るために走り出していた。


「ああもう!チビ助に必死に着いてきたせいで道がわからねぇ!おい!チビ助!道案内しろ!」


「ワン!」


そう吠え、彼の前を先導し始めた。


「お利口さんだこと!後で串肉1本奢ってやらぁ!」


しばらく子犬のあとを走っていると。人のガヤガヤとした声が聞こえて、大通りに出ることが出来た。


「急患だ!道を開けてくれ!」


叫ぶ


すると、人々は道を開けて彼が走る道を作った。


「おいおいおい!死ぬなよぉ!」


幸いにも警ら隊の待機所は近くにあった。


「おやっさん!急患だ!先生を呼んでくれ!」


待機所の戸を蹴破るように開けると、叫んだ。


すると、おやっさんと呼ばれた男は、建物の奥の方に走っていき、彼は獣人種の少女をベッド兼ソファーに寝かせた。

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