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泪声  作者: 幻中 六花
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ピンク色のミニギター

 明音を呼び止めた母に、明音は一万円足りないことを打ち明けた。別に母に打ち明けたからといってどうにかなるわけでもないことはわかっていたので、

「私の勘違いかも」

と言って部屋に戻った。


 ──数日後。


 海音との久しぶりのストリートライブデートを明日に控えていた明音の家に、仕事帰りの海音が来た。明日は遅くなる日だから、今日は家デートだ。


 ──コンコン。


 海音が来たらそのまま通してもらうようになっていたので、明音の部屋に直接来た海音がドアをノックする。

「はーい」


 ガチャ、とドアを開けて入ってきた海音は、手にギターケースを抱えていた。


「これ、少し早いけどクリスマスプレゼント」

「え!? マジで!?」

「もうひとつあって、これ。そんな高くないやつだけど」


 海音から小箱を受け取って開けると、ピアスが入っていた。

「あ、可愛い!」

 桜の花びらをモチーフにしたデザインのピアスだった。

「このギターと合うと思って」

 そう言って海音が開いたギターケースには、この間楽器屋さんで思わず目が釘付けになった可愛いピンク色のミニギターがちょこんと収まっていた。


「え、これ……」

「この間可愛いって言ってたから。これでストリートライブやろうよ」

「嬉しい……! ありがとう!」


 明音は『欲しい』という思いを遠回しに伝えたつもりはなかったので、正直驚いた。

 東北の桜の季節にはまだまだ、まだまだ早いけれど、いつか似合う日がくるよね。


 次の日、予定通りストリートライブに出た2人だったが、途中からパラパラと雪が降ってきてしまい、早めに引き上げることにする。

 ピンク色のミニギターのデビュー日は、この街の初雪の日となった。

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