魔物討伐3
2ヶ月も更新を止めてしまい、誠に申し訳ございませんでした!!
「セリス!後ろ!!」
目の前の魔物との攻防戦を繰り広げていると、
ゼンの声が聞こえて咄嗟に頭を下げる。
「っ…!」
爪が頬を擦り、血が飛び散った。
「大丈夫か!?」
ゼンは焦った様子でこちらに駆けてきた。
「大丈夫!それよりさっきより増えてる気がするんだけど気のせい?」
私はゼンに余計な心配をかけないように笑顔を浮かべた。
するとゼンは表情を曇らせ、
「いや…気のせいじゃない。多分これは闇魔法だ。」
覚悟を決めたかのようにそう答えた。
そこから私達は少し移動して、魔物と距離を取った。
闇魔法……。
そんなもの、私は知らない。
私は知らず知らずのうちにこの世界の事を知った気になっていたのかもしれない。
ここはゲームじゃない、現実なのに。
「闇魔法って…?」
私が恐る恐る聞くと、
「お前も聖女のことは知ってるだろ?その対の力だよ。まあ、一般的には知られていないからお前が知らないのも無理はない。」
ゼンは周りの魔物を警戒しながらも答えてくれる。
「じゃあ…。じゃあ、なんでゼンは知ってるのよ。」
これこそが私の最大の疑問。
初めて会った時から、胸の奥を占めていた、気づかないふりをしていた疑問だった。
そんな私の質問にゼンは少し困った顔をする。
「それは…。本当はもうお前だって気づいてるんじゃないのか。」
私はハッと息を呑む。
そうだ。私はもうとっくに気付いている。気づかないふりをしている。
最初から違和感しかないのだ。
ゼンが平民だということに。
2人で初めて魔物を倒した時に私が傷一つ負っていなかったことに。
ゼンは…ゼンは…
きっとこの国の王太子、ゼフィラン・エスタリア殿下なのだろう。




