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聖女の対

更新遅くなりまして申し訳ありません!!

ちょっとこれからも遅くなるかもです…。

どうしよう…どうしよう…!!

この世界は私のもののはずなのに!!

何で王太子殿下達は私の事を見てくれないの!?

私は人目のつかない中庭で頭を抱えていた。




「これはこれは、イーディス侯爵家の御息女様ではないですか。」

突然誰かに話しかけられた。

即座に顔を上げると、ニコリと笑みを浮かべた美形の男が立っていた。 



「貴方は誰ですか?」

素の私が見られていたんじゃないかと警戒しながら尋ねると、

「おっと、これは失礼いたしました。私はこの学園で教師を務めさせてもらっています、イライジャ・スコットと申します。」

男は大袈裟に礼をしながらそう言った。

「そうだったんですか。知らなくてすいません。」

私がそう言って立ち去ろうとすると、

「そういえば、令嬢はご存知ですか?王太子殿下や第二王子殿下、モンフォール公爵家の嫡男殿までを虜にする女性がいるという噂を。」

男が不意にそんな事を呟いた。

私はビクッとして、体が固まる。

「初めて聞きましたが…。」

何とかそう答えると、

「いや、かなり噂になっているんですよ。高位貴族や王族までもを籠絡する淫らな女性がいるんだと。しかも、その女性は平民らしいんですよ。」

男は明らかに私の怒りを増長させるような事を言ってきた。

「何が言いたいんですか…?」

私が怒りを抑えながら尋ねると、

「少し前までは第二王子殿下と令嬢が仲睦まじく話されているのを見かけていたものですから、実際どうなのか気になりまして。余計な事を聞いてしまいましたか?」

男はわざとらしく首を傾げた。



そこで私の怒りが溢れ出してしまった。

「ええそうよ。私と殿下はとても仲が良かったわ。

なのにあの女が、あの女のせいで何もかもぶち壊しよ!私の何が悪かったの!?」

私は思いっきり大きな声で怒声を響かせる。

本当に私の何がいけないのよ…。

私が肩を震わせながら下を向いていると、

「貴方は何も悪くありません。」

そんな優しい声が聞こえてきた。

思わず顔を上げると、優しい笑みを浮かべた男が目の前にいた。

「殿下達は騙されているんですよ。おそらくその女は自前の手練手管で惑わしているに違いありません。だから、貴方も殿下達も悪くありません。悪いのはその女です。」

「ほんと…?」

「ええ。本当です。」

私が聞き返すと、力強くそう返してくれた。

そうよ、そうよね。私は何も悪くないもの。何もかもあの女が悪いのよ!

そう思っていると、

「だから私にも協力させてください。」

男はそんな事を言ってきた。

「協力って?」

意味を推し量れずに尋ねると、

「令嬢は聖女という存在をご存知ですよね。」

急に話を変えられた。

「えっ、そりゃ知ってるけど…。」

だって将来の私だもの。

「じゃあ、その対となる存在をご存知ですか?」

「対?」

初めて聞く言葉に私は不安を感じた。

この世界に私の知らない事があるなんて。

「はい。聖女は『光の魔法』と言われているものを使うことができます。ですが対となる存在は『闇の魔法』というものを使うことができるんです。」

男は信じられない事をあたかも本当であるかのように言ってきた。

「そんなことありえないわ。」

私が答えると、

「じゃあ実際に見せてご覧に入れましょう。」

男はそう言ってニヤッと笑った。

するとその瞬間、男の手に真っ黒な光が現れた。

「なっ!?」

私が驚きの声を上げていると、男はそのまま近くに立っていた木にその手をかざした。

男の手から光が離れ瞬く間にその木に広がっていった。

そして、その木はミシミシと音を立ててそのまま倒れてしまった。

私が呆然とその光景を見ていると、

「闇の魔法は光の魔法と逆なんです。ありとあらゆる生き物の生気を奪うことができます。」

恐ろしい事を男は笑いながらそう言った。



これはダメよ…。

聖女になるはずの私がこんな人と絡んでいたら王太子妃になれないじゃない!?

そう思い、

「私は近い将来、聖女となる存在なのよ!貴方とは組めないわ!!」

私は叫んだ。

すると男は、やれやれと言った様子で肩を竦めた。

「この力は貴方が聖女となった後にも役に立つとは思いませんか?対の存在ではありますが、私と貴方が組めば最強になれる。私はそう思っているのですが…。」

人を生かす力と生を奪う力。

その2つを持っていれば最強だ。

私は確実に未来の王妃となれるだろう。勿論、周りにこの男の力を言う気はないが…。

その未来を想像し、私はニッコリ笑った。

その通りだ。この男と組めば、あんな奴…!

あの気に食わない女を思い出し私は顔を歪めた。

そして、

「貴方の言う通りね。交渉成立よ。」

私達は深い握手を交わしたのだった。


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