新事実
翌日
今日は午前中、仕事ないんだよねー。
仕事は昼からのアルの護衛だし。
よしっ!
部屋に篭ってるのも暇でしょうがないから、王城を見て回ろう!!
城の中に入れるなんて滅多にないもん。
チャンス、チャンス!!
そして、私は部屋から出た。
とりあえず、城の中を歩き回っていると、
「セリス?」
後ろから話しかけられた。
パッと振り返ると、アルが1人の男性と話しながら歩いていた。
友達かな?でも貴族だろうし、敬語モードかな。
「アルフレッド様。ご友人ですか?」
私はアルに一礼してそう聞いた。
「まあね。会うのは久しぶりだけど。」
アルは少し肩を竦めて言った。
照れくさいのかな?何か可愛い。
軽く笑みが溢れるのを堪えていると、
「おいおい!この子誰!?超可愛いじゃん!!」
アルの友達がそう言い出した。
「君、名前なんて言うの!?」
そして、私にも話しかけてきたので、
「第一騎士団所属で今はアルフレッド様の護衛を担当しております、セリスと申します。」
私は非礼のないように答える。
すると、
「おい。そうやって好みに当てはまる女性に会ったら話しかけるのはやめろって言ってるだろ?」
いつもの事なのか、アルは呆れたようにそう言った。
「いやいや、今回は本当に美人じゃん!セリスちゃんが第一騎士団所属なんだったら、書類届けに行く時は絶対に俺が行く!!」
「だから、そういうのやめろ!」
テンポの良い2人の会話に私は笑いが堪えられなくなってしまった。
「ふ、ふふ…。お二人は本当に仲がよろしいんですね。」
この人はゲームで見たことがないから、アルのこんなシーン初めて見たな。
もしかしたら、王太子ルートで出てきたのかもだけど、こんな面白い絡みがあるなら他でも出してくれれば良いのに。
そんな私を見て、
「セリスちゃん、マジで俺のドタイプ…」
その人は何か言っていたけど、アルがそれを遮った。
「僕達は小さい頃から交流があるからね。王太子殿下と3人でよく話すんだけど、こいつ…いや、レオは文官だから、セリスは見たことないかな?」
レオさん?の頭を叩きながら。
「痛いって!本気で殴るのやめろ!」
レオさんは少し暴れながらアルに文句を言う。
そんなレオさんにアルはため息をつく。
で、
「本気で殴って欲しい?」
目の笑ってない笑みを浮かべながらアルは言った。
「いや…何でもないです…。」
レオさんはすぐに引き下がった。
私に向かって言ったんじゃないのに寒気がしたから、レオさんの行動は正しかったと思う。
怖いよ。
それにしても、レオさんも綺麗な赤みがかった髪に金色の瞳に整った顔立ちと揃ってるから、攻略対象でもおかしくないんだけどな。
アルと仲良いぐらいの高位貴族なら尚更。
そう思ってレオさんを見ていると、急に思い出したかのように、
「そういえば自己紹介してなかったよね!俺はレオ・ランブロウ。年は今年で17歳。よろしく!!」
レオさんはパパッと自己紹介をした。
ランブロウ?
えっ!!
「レア…じゃなくて、レアナ様のお兄様ですか!?」
レアナのお兄さんじゃない!?
まさかの事実に思わず、叫んでしまう。
レオさんは少し驚いたように、
「えっ、ああ。レアナは俺の妹だけど…。」
そう言った。
顔には何で知ってるの?と書いてある。
あっ、どうしよう。知り合いだったらおかしいよね。何て説明すれば!
私が取り乱していると、
「昨日のパーティーで会ったんだよね?」
思いのほか、アルが助け舟を出してくれた。
「あっ、はい!昨日ちょっと絡まれていた所を助けていただいて…。」
アル、本当に感謝!ありがとう!!
私は心の中でお礼を言う。
「そうなの!?えー、俺が助けたかったなぁ。昨日のパーティー、さぼらなきゃよかった。」
レオさんは納得したみたいだけど、今度は不満を言い始めた。
「今日のは出るんだぞ?本当に…。俺が王太子殿下に責められるんだからな!」
アルは昨日のことを思い出したのか、レオさんに念を押しだす。
「だって、今年は婚約者が参加してなかったから、出ないといけない理由もなかったんだよな。なんでも、妹が参加するらしくてさ。」
レオさんはあっけらかんと言った。
そこで、私はレオさんの言葉に少し引っかかる。
『妹が参加する』?
できれば勘違いであって欲しいんだけど。勘違いであって欲しいんだけど!
「あの、レオ様の婚約者ってイーディス侯爵家のマリアンヌ様だったりします?」
恐る恐る聞いてみた。
だって、気になるじゃん!!
「ん?そうだけど?何で知ってるの?」
私の願いも虚しく、レオさんは肯定した。
あ、当たりだったー…!
マジか。世間は狭いってこういうことを言うわけ?
「いえ、昨日レアナ様にお聞きしたもので。」
それでも、心の内を隠すかのような笑顔で返す。
すると、
「レアナと結構仲良いんだな。あいつ、仲良い奴あんまりいないイメージだったからちょっと嬉しいよ。」
レオさんはそう軽く笑った。
待って、めっちゃ良いお兄さんじゃん。
私もこんなお兄さん欲しかったー!エドワードとか本気で年上に思えない。
いや、人間にすら見えない!
まあ、これは言い過ぎたとしてもレアナとが羨ましい!!
そう思っていると、
「そろそろ、王太子殿下の所に行かないといけないね。」
アルが時計を見ながら言った。
レオさんもそれに同意しながら、
「ああ、そうだな。っていうか何でさっきから『王太子殿下』って言ってるんだ?いつも通りゼンって…」
言葉を返していた所、急にアルに口を塞がれていた。
そして、
「じゃあ、また後でね!」
レオさんの襟を掴みながらアルはそう言って歩いて行った。
アルは一体何がしたかったんだろう?
はぁ。新事実が明らかになってしまった。
レアナとレオさんが兄弟で王太子とアルとレオさんは幼馴染。
で、マリアンヌとレオさんは婚約者。
これなら、レアナがイーディス侯爵家に詳しかったのも頷ける。
でも、それならレアナとマリアンヌは仲良くなったりしなかったのかな?
話してるところ見た事ないからなー。
うーん、別にレアナはマリアンヌに悪印象を持ってそうでもなかったし…。
あー!!
なんか、逆にややこしくなった!!
そんな考え事をしながら歩いていると、いつのまにか外に出てしまっていた。
外か。騎士団の施設も城の敷地内にあるから、外は結構行ったことある所多いんだよね。
行った所ない所は…。
あっ!!
中庭とか行ってみようかな?別に立ち入り禁止にはなってなかったみたいだし。
そう思いつき、私は中庭へと向かった。
うわぁ、めっちゃ綺麗…。
中庭はバラが咲き乱れていて、すっごい綺麗だった。
「誰が管理してるんだろ?一年中咲いてたりするのかな?でも、バラにも季節があるだろうし…。」
そんな事を呟きながら歩いていると、
「そこにいるのは誰だ?」
突然、どこかからか声をかけられた。
咄嗟に辺りを見回すと、奥の方から1人の男性がこっちに歩いてきた。
「見ない顔だな。」
顔を見た瞬間、血の気が止まる。
「だ、第二王子殿下…?」
う、嘘でしょー!?




