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出会いイベント 下

「さあ、お姉様!中庭に行きましょう!」

ミリアナに促されて私達は中庭へと向かい始めた。

「あの、お姉様は私の事どう思ってますか?」

中庭へ行く道中、急にミリアナにそう尋ねられた。

「えっと、いや、別に何も…。」

この質問は予想外だ。原作にはこんなシーン、なかったはず。

この子は一体何をしたいの?

「あっ、ごめんなさい!私、お姉様とも仲良くなりたくて…!不躾な質問しちゃった…。」

疑問に思っていると、ミリアナはすぐにそう言った。

でも、これはチャンスかもしれない。自ら、ゲームの展開をいじったんだから、少々内容が変わっても怪しまれないだろう。

「あのっ!」

そこで、早速私は声を上げた。

「どうしたんですか?」

ミリアナは首を傾げながら、聞いてくる。

「先に、中庭へ行っておいてください!」

私は早口でそう言ってその場を駆け出した。

「えっ、あっ、お姉様!?」

ミリアナは戸惑っている様子だったけど、そんなの…知らね!



とりあえず、いじめの現場をなくせばいいんだから何らかのアクシデントを起こせばいいわけ。

「それにしても、このバケツ汚すぎでしょ。」

だから、私は水の入ったバケツを持っていた。

何に使うかと言うと、マリアンヌ達にこれをぶっかけるため。

いじめる側にアクシデントが起きたら、大体その場でのいじめはなくなる。

マリアンヌへの言い訳はミリアナにかけるつもりだった。ということにしておこう。

元の性格が良くないからこんなことしか思いつかなかったけど、まあいいよね。



やっと中庭につき、マリアンヌの方へ近づいていった。

「あんた、生意気なのよ!」

「マリアンヌ様のような高貴な方に馴れ馴れしいわ!」

「汚らわしいその手で触れないでくれるかしら?」

いじめの現場はもう始まっていた。

「えっと、あの、私!お姉さまと仲良くなりたくって…。」

ミリアナも迫真の演技だけど、私がいない事実に若干戸惑っている様子。

早くなんとかしないと!

「お、お姉様!」

私は後ろから声を張り上げた。

その瞬間、皆がこちらを振り向いた。

そして、私は早足で近づき、

「この水を、あっ、わ!」

わざとバランスを崩した。

バッシャーン!!

バケツから水が全てこぼれ、マリアンヌとその取り巻き達に水がもろにかかった。

「キャーッ!!」

「何すんのよ!!」

「み、水が!」

マリアンヌ達は混乱して声を張り上げている。

ミリアナは何が起こったのか分からないといった様子で突っ立っていた。

こんなに騒ぎ立てたら、いくら人目がないところでも誰か来るでしょ。

私は内心、満足げに立っていると、

「こんな所で、一体なんの騒ぎだ!!」

聞き覚えのある声が後ろから聞こえた。

ま、まさか…!

私が慌てて振り返ると、

そこには不機嫌そうな表情の第二王子の姿があった。



そりゃ、そうだよねー。誰か来るとしたら、こいつが来るに決まってるよねー。

考えが甘かった…。

「何があったかと聞いている。」

相変わらず、上から目線な態度。

流石、俺様系の攻略対象ね。

さてさて、こいつへの対応をどうしましょうかね。

「な、なんでもないんです!第二王子殿下…!」

そう思っていると、ミリアナが突然声を上げた。

「何にもないだと?この状況でか?」

第二王子は怒った様子でそう言った。

「はい!」

ミリアナは尚もい言いつのる。

「何もないわけないでしょ!?本当に平民の癖に生意気なんだから!!」

そんな中、マリアンヌの取り巻きのうちの1人が叫んだ。

いや、そんなこと言ったら多分…。

「出自で他人を貶めるなど、自分の心が醜い証拠だ。さっさと、立ち去れ!」

第二王子は冷たい睨みをきかしながら、その令嬢に言い放った。

やっぱり。この人に身分の話は禁句なんだよ。

令嬢はサッと青ざめ、一目散に逃げていった。

それを見た他の令嬢達も逃げていく。その中にはマリアンヌの姿もあった。

そして、残ったのは私とミリアナと第二王子という、なんとも気まずい空間になってしまった。

「わ、私はこれで…。」

私もさっさと退散しようとすると、

「待て。」

第二王子に呼び止められた。

ギクッ。

「な、何でしょうか…?」

何で呼び止めるんだ。ミリアナがいるんだから、それで十分でしょ!

「あの者達が1人の生徒を貶めるといった行為をしていたのは確かか?」

私の気持ちなど全く知らないといつた様子でそう聞いてきた。

えっ、これなんて答えればいいの?

いや、暴言はいてたのはちょっと見てたしな…。

嘘をつくのも、なんか違うし。

よし、こういう時は!

「す、すいません!」

私は謝罪の言葉を口にして、ダッシュで逃げた。

「おい、お前!話はまだ終わっていないぞ!!」

第二王子が後ろからなんか言ってたけど、私は無視してその場を立ち去った。



それから数日後

「殿下!今日は中庭で一緒にお昼を食べませんか?」

「ああ、いいだろう。」

いやいや、なんか発展してるぞ?

この2人。ミリアナと第二王子はかなり親密な関係になっていた。

あれから、何があったか知らないけどこれは結構やばい展開なのでは?

私、別にヒロインの味方してないし、処刑ルートまっしぐら!?

どうしよう、やばい…。

「ほんとに、第二王子も何絆されてるんだか。貴方もそう思わない?」

私が焦っていると、突然話しかけられた。

「えっ?」

思わずそんな言葉を漏らして隣を見ると、

「貴方、あの時ミリアナ嬢を呼び出した子よね?」

あの時ミリアナへ毒付きながらも、呼び出してくれた子だった。

「あっ、はい。そうですが…。」

ワンテンポ遅れながらも答えると、

「やっぱり、そうよね!あっ、私はレアナ・ランブロウよ。」

その子は笑顔で言った。

「あっ、私はセリスティア・イーディスです…。」

慌てて私も自己紹介すると、

「セリスティア嬢ね。ところで、何でそんなメイクしてるの?」

!?

新しい子が出てきましたね!

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