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出会いイベント 上

「お姉様!一緒に教室へ行きましょう!」

はい、やってきました。第一回出会いイベント!!

一緒に教室へ行こうなんて言ったことないのに、本当に現金な子だわ。

まず、クラス違うだろうが。

「何言ってるの?あんたみたいな汚らわしい奴と行くわけないでしょう?あと、気安くお姉様なんて言わないで頂戴!」

相変わらず、マリアンヌは高飛車な態度でそう言い放った。

「貴方はどうするの?セリスティア?」

そして私にも言葉を投げかけてくる。

「も、もちろん、お姉様についていきます…!」

私はいつもどおり、おどおどした様子でマリアンヌに答えた。

「お、お姉様…。」

ミリアナは悲しそうな声でそう呟く。

というかさー、よくこんな公衆の目前でこんな事できるよね?

マリアンヌは自分の印象を悪くしてるだけだし、ミリアナは自分が愛人の子です!と宣言しているようなものだ。

このストーリーの原作者ってやっぱりバカでしょ。

そう思いながらも、先々と進むマリアンヌの後を追った。



あらかじめ、私は休みをとっていたため、騎士団の方は休みだ。

つまり、私は今日が初めての学園での授業ってわけ。目立たないようにしないと。

頭良すぎてもバカすぎてもダメなんだから。

「今日は、この国の歴史について話したいと思います。」

私が考え事をしている間に、先生がいつのまにか来ていて、いつのまにか授業が始まっていた。

歴史か。地下の書物で大体把握してるし、困ることは無さそう。

「この国を創ったのは初代聖女様と言われています。聖女様はあらゆる聖なる魔法を使い人々を癒し、国に貢献したのです。これは常識ですね。それからも、何人か聖女様は現れましたが、えーと、セリスティア嬢。何人か分かりますか?出来れば名前も答えて欲しいわ。」

突拍子もなく、私は当てられた。

えっ。

もしかして、私ってめっちゃ運悪かったりする?

初日の授業(私にとって)で当てられるなんて、運悪すぎるでしょ。

なんか、常識って言ってたしこれは当てないと悪目立ちするよね?

「えっと、あの、シュゼット・アスタリア様、レイラ・アスタリア様、プリシラ・モンフォール様、アルティラス・グルベンキアン様、リアーナ・モンフォール様、ルナリア・アスタリア様の順に6名おられたとに、認識しております…。」

よし、自信なさげなモブ感を出し切った言い方だわ!

私は内心、満足していると何故だか皆の視線が私に集まっていることに気がついた。

えっ?私、なんかやらかした?

「聖女様全員の名前を覚えているなんて、素晴らしいわ!特に、4代目の聖女様が嫁がれたグルベンキアン公爵家は現在、存在しないから知っている人も少ないのに…。」

先生に驚いたようにそう言われて、私の頭の中は真っ白になる。

やばい…。やらかした。

そうよね…。グルベンキアン公爵家は確か、100年くらい前に謀反の罪で取り潰されてるんだから、普通の人が知るわけないじゃん!!

「いや、あのっ。はい…。」

とりあえず、ただ聖女についての知識だけが多いってことにしておこう!

「セリスティア・イーディス嬢。しっかり覚えておきます。」

先生は私の頭の中なんて知る由もなく、そう微笑んだ。

先生の印象に残ってしまった…。で、でも!歴史担当の先生は他にもいるし、これからは他の先生の授業を選択しておこっと…。



まあ、歴史の授業では思わぬアクシデントがあったけれども!

やっと、出会いイベント発生の時間になったわ!!

ああ、ここまで長かった。

「セリスティア!ちょっと来なさい!!」

おっと、早速呼び出しね!

マリアンヌに呼ばれ、私はそそくさと教室から外へと出た。

「な、な、なんでしょうか…。」

おなじみの私のおどおどした態度で尋ねると、

「汚らわしい出自の貴方と会話するのは嫌なのだけれど、仕方ないわね。ミリアナを連れてきなさい。これは命令よ。」

マリアンヌは相変わらずの態度で私に言った。

じゃあ、私に頼むなよ。他に取り巻きがいっぱいいるんだからさ。

とは思ったけれど、

「わ、分かりました…!」

従順な態度でそう答え、私はミリアナがいる教室へと向かった。



教室に着くと、窓際に座っているミリアナを見つけた。

こうして見ると流石、ヒロイン!って感じがする。

綺麗な髪に大きな瞳の美少女だ。

これで、性格がよかったら完璧なんだけどな。

とにかく、呼び出さないと。

私は近くにいた令嬢に、

「あの、ミ、ミリアナを呼んで頂けませんか?」

と声をかけた。

「えっ、ミリアナ嬢?あぁ。あの女狐…じゃなかった、イーディス侯爵家の令嬢ね?」

ん?今、すごい不穏な言葉が聞こえたような。

「あんなに男に色目使う人、初めて見たわ。それも、男は気付かないんだから。ったく、ミリアナ嬢!えっと、この子が呼んでるわよ!」

ぶつぶつと愚痴をこぼしながら、その令嬢はミリアナを呼んでくれた。

っていうか、やっぱり聞き間違いじゃなかった…。他の令息にも手出してるわけ?

攻略対象だけじゃなく?

私は心の中でため息を吐いた。

「あっ、お姉様!私に何かご用ですか?」

ミリアナは今朝あんな事があったにも関わらず、笑顔で私の方へと駆けてきた。

メンタルどうなってんだ。ほんとに。

「お、お姉様が呼んでるから…!中庭に来て欲しいの…。」

私が言うと、

「お姉様が!?嬉しい!行くわ!!」

ミリアナは目を輝かしながら、そう言った。

突っ込みどころ満載だけど、とりあえずヒロインは放って置いてと。

さて、この出会いイベントをどうやって回避するかだな。まず、複数人で1人を問い詰めるのってやめといたほうがいいと思うんだよね。

いくら、学園の中庭には人が少ないからといって、人目につきやすいし、普通にいじめってよくないしね。

ヒロインが転生者じゃなかったら、他の所に誘導したりして回避するんだけどなぁ。

転生者であるミリアナは確実にゲーム通りの展開を望んでいるだろう。

よしっ!とりあえず、中庭までミリアナを案内するか。

次に続きます!

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