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異変

ブクマ登録、320件越え!!

ありがとうございます!!

「お嬢様、お戻りになったんですね!」

アジャへの出張から帰ってくると、すぐにユラが出迎えてくれた。

「ただいま。5日間も留守にしてて、ほんっとにごめん!」

当初は3日の予定だったのに色々とトラブルのせいで2日も伸びてしまった。

いくら、ユラとフィンが優秀だからといって、ミリアナの目を欺くのはキツかったはず。

「いえ、大丈夫です!と、言いたい所なのですが…。正直言って、かなり限界です。フィンがなんとか誤魔化してますが…。」

案の定、ユラは疲れた様子で言った。

「そうよね…。すぐに、部屋に戻るわ。フィンには私が帰ってきたって伝えといて!」

「分かりました!」

私はユラにそう伝えて、自分の部屋へと戻った。



数分後

「セリスティアがそんなにひどい病気にかかっているのだったら、ぜひお見舞いをしたいの!だから、部屋に入れて!」

部屋の外から、ミリアナの声が聞こえてきた。

「ミリアナお嬢様にうつってしまうかもしれませんので、それはちょっと…。」

「フィンはそれしか言わないのね!私はセリスティアが心配なの!!」

フィンと押し問答をしていることがわかる。

【それしか言わない】って事は…。

この5日間、フィンはずっとミリアナをこんな風に食い止めてくれてたってことよね?

すっごい、申し訳ないわ…。

そこで、私は部屋の扉をゆっくりと開けた。

「えっと、あの、私はもう大丈夫、だから…。」

扉の隙間から、ほんの少し顔を出してそう伝えると、

「本当に!?じゃあ、明日は学園に来れるわよね!ね!?」

ミリアナは食い気味にそう聞いてきた。

ミリアナがこんなに必死になっているのには、訳がある。

明日は第二王子とミリアナ(ヒロイン)の出会いイベントなのだ。

マリアンヌが取り巻きを引き連れて、(私も含む)ミリアナをいじめている所で第二王子と会う設定だから、私もいないと困るんだろう。

何しろ、この場面では私にセリフがある。

『愛人の娘の貴方なんて、マリアンヌお姉様に敵うわけ、な、ないんだから!』

というセリフだ。

それも、第二王子が登場している時にそれを言うものだから、妾の子である第二王子の逆鱗に触れてしまう。

で、

『出自で他人を貶めるなど、自分の心が醜い証拠だ。さっさと、立ち去れ!』

と言われてしまう。

そう。

つまり、不運で可哀想な悪役なのよ!!

マリアンヌのために言った言葉なのに、第二王子には怒鳴られるし、マリアンヌには叩かれるしで最悪なんだよね。

「明日は、学園に行くから、大丈夫…。」

ゲームの内容を思い出しながらそう答えると、

「そう!よかったわ!じゃあ、明日のためにもゆっくり休んでね!!」

満足げに笑うと、早足で別館を出て行った。

「ほんとに、現金な子よね。」

そんなにミリアナにため息をつきながら、私が言葉を漏らすと、

「おーじょーさーまー!?約束と違うじゃないですか!!3日で帰ってくるって言ったのに!!」

フィンが恨みがましそうにこちらを振り返った。

うっ。

「ほんっとにごめん!!色々と問題が起きて…。」

慌てて謝ると、

「お嬢様に分かりますか?ミリアナお嬢様を誤魔化す事の大変さが!めっちゃしつこく聞かれるし、ボロが出ないか冷や冷やしてたんですよ!!」

フィンは早口でこの5日間がどれだけ大変だったかを語り出した。



いやいや、これはいくらなんでも長すぎるでしょ!!

そりゃ、全部私が悪いけど!

話し始めてから、かなりの時間が経ち私の限界が近づいてきた。

そんな時、

「フィン、うるさすぎるし、仕事がまだ終わってないでしょ?」

ちょうどユラがやってきた。

「あっ、そういえば、執事長から仕事頼まれてたんだった…。」

ユラの言葉でフィンは頼まれていた仕事を思い出したのか、ぼそっと呟く。

そして、

「とにかく!この埋め合わせはしてもらいますからね!!」

そんな言葉を言いながら、フィンは足早に仕事場へと戻って行った。



「お嬢様、初めての王都外での仕事はどうでしたか?」

部屋に入り、ひと段落ついた頃にそう聞かれた。

「まあ、色々あったけど良い経験にはなったと思う。」

魔獣やジョルジョを思い出しながら答えると、

「それは良かったです。目立った傷もないようですし、安心しました。」

ユラはそう言ってにっこり笑った。

そこで私はある異変に気付いた。

【目立った傷もない】?

私は魔獣のせいでかなりの傷を負ったはずだし、骨折もしていたはず。

えっ、私って…。


何で私は無傷なの?


「お嬢様、どうかされましたか?」

ユラが不思議そうに尋ねてきた。

「ううん!何でもない。なんか、疲れたしこのまま休むことにするわ。」

何で今まで気づかなかったんだろう。

あんなに大きな負傷がたった1日でなくなるはずがないのに。

「そうですか。じゃあ、私はもう下がりますね。明日は学園もありますし、ゆっくり休んでください!」

ユラは私に気を使って、部屋を出て行った。



『聖女の魔法』

私が最初に思い立ったのはこれだった。

魔法を使えるのは聖女くらいしかいない。

でも、まだミリアナは聖女の力に目覚めていないはずよね?

だとしたら…。

『王族』?

確か、トップシークレットだけど王族は聖女の血を引いているから魔法が使えたはず。

ミリアナが聖女の力に目覚めているという可能性よりは王族が魔法を使ったという可能性の方が高い。

ただ、治癒魔法はかなり魔力がないと使えない。

だとしたら、国王、王太子、第二王子に絞られてくる。

この3人のうち、誰かが私に治癒魔法を使ったという線が有効ね。

ただ、ここから絞るのは不可能に近い。

だって私は誰とも知り合いじゃないし、王太子に至っては顔すら知らない。

「あーーーーー!もーやーもーやーするー!!」

どう考えても腑には落ちないけど、今これを考えててもしょうがないよね。

とにかく、明日の出会いイベントをどうやって乗り越えるかを考えよう!!

次は、出会いイベントです!

さて、セリスティア、ミリアナ、マリアンヌは一体どうするのでしょうか!?

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