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初仕事編3

更新遅れましてすみません!

寝付けない。

夕食を終え、部屋に戻ってからかなり経つけど私は完全に目が冴えていた。

ジョルジョの話も気になるけど…。

マリアンヌの問題が私の中で1番悩ましい問題だ。

小説の中の主人公とかだったら、エドワードを手伝ってあげるんだろうな。

でも、私は違う。そんな善人じゃないし、今までの事を考えたら…嫌だというのが正直な気持ち。

はぁ。

気分転換に部屋から出ようかな。下の食堂は夜になると、オシャレなバーみたいになってるし。

そう思った私は上着を羽織って下へと向かった。



下に着くと、カウンターにゼンが座っていた。

少し驚いて、

「何してるの?」

と尋ねると、ゼンはびっくりしたようにこちらを振り返った。

「お前こそ、何してるんだ?」

「なかなか、寝付けなくて。」

私はそう答えて、ゼンの隣に腰を下ろした。

「すいません、紅茶下さい。」

私は注文しながら、ゼンが飲んでいる物を見てギョッとする。

「それって、お酒!?」

まだ、未成年だよね?未成年じゃん!

ゼンはそんな私を怪訝そうに見ながら、

「別にいいだろう。酒を飲むのに年齢制限なんてないんだから。」

と言った。

「年齢制限ないの!?」

そんなの初耳だ。成人してからじゃないの!?

「知らなかったのか?当たり前だろう。」

なんというか…カルチャーショックだ。

でも、ある事に気づく。

じゃあ私も飲んでいいんだよね?

年齢制限ないんだもんね?

「すいません、やっぱ紅茶じゃなくてこの人と同じ物で!!」

それなら、私も飲みたい!お酒飲んだ事ないし!!

「おい、酔っても知らないからな?」

隣でゼンが言ってきたけど、絶対酔わない!はず!



「ゼン…何でゼンが2人もいるの…?」

何となく、頭がクラクラしてきた。

「絶対酔ってるだろ?何でぶどう酒一杯で酔うんだ。」

ゼンが何か言ってる…。

「酔ってないもん。」

意識あるし、私は正常!

「そんな顔赤くして言っても全く、説得力ないからな。」

「ほんとだもん!」

心外だ。私は酔ってないのに…。

「はいはい。分かったから、もう部屋に戻るぞ。」

私はゼンの肩を借りながら立ち上がる。

「ねえ、ゼンなら嫌いな人が困ってる時に助ける?」

その時に私はおもむろに口を開いた。

「は?」

ゼンは急な私の言葉に驚く。

「嫌いなの、でも困ってるの。どうすればいい?」

私は一体、どうすればいいの?

だんだんと涙が滲んできた。どうすれば…。

すると、

「よく分からないが…。俺なら助けてやって恩を売る。いつか、自分の為になるかもしれないからな。

だが、あくまで自分の為だ。嫌いな奴の為に行動するつもりはさらさらない。」

ゼンは飄々と言った。まるで、決まってるだろうとばかりに。

そうか。やっぱりゼンはすごいなぁ。

私よりも大人みたい…。前世と合わせたら私の方が年上なのに。

私はにっこり笑って、

「ゼンはすごい!これからもゼンにいっぱい聞く!!」

そう言ったのだった。

「なっ!?」

ゼンは面食らった様子だったけど、断りはしなかった。

満足したら何か、眠くなってきた…。

私はゼンに体を支えられたまま意識が途切れた。



なんなんだ。こいつは。

ぶどう酒一杯でめっちゃ酔うし、急に変な質問してきたと思ったら…

「ゼンはすごい!これからもゼンにいっぱい聞く!!」

さっきの事を思い出して首を振る。

その上、部屋に着く前に寝るしな!!

そのせいで俺は今セリスを抱き抱えて、上まで運んでいる。

階段を上りきり、セリスの部屋を開けた。

そして、ベッドにセリスを置く。

「すー、すー。」

穏やかな寝息をたてながら、セリスは心地よさそうに眠っていた。

「無防備な奴だな。」

思わず、そう口にした。

男の前でよくこんな呑気に寝てられるもんだ。

見た目は十分大人だというのに、危機感が足りなさすぎる。

それでも、セリスに対して嫌悪感はなかった。逆に妙に気になるというか、目が離せない。

多分、突拍子もない行動をするからだとは思うが。

「明日、二日酔いになるなよ。」

小さく声をかけて、部屋を出る。

本当に変な奴とペアになったもんだ。そう思いながらも軽く笑みを浮かべたのだった。



頭がガンガンする…。

私は頭の痛みで目が覚めた。

何で、こんなに頭が痛いの?そう思いながら体を起こすと、昨日の事が次々と蘇ってきた。

えっ、ちょっ、まって、私は何て事を!!

恥ずかしさのあまり、頭を抱える。

こんな事なら、お酒なんて飲まなきゃよかった!

そんな時、ドアをノックする音が聞こえた。

「はい!」

私が返事をすると、

「早く準備しろ。今日から仕事開始だからな。」

ゼンの声がした。

「わ、分かった!」

ゼンには昨日の失態を全部見られてるんだよね?

めっちゃ恥ずかしいじゃん!どんな顔してゼンと話せばいいんだよー!!



「お、お待たせしました…。」

ゼンとは目を合わせないようにそろっと部屋から出た。

そんな私にゼンは

「ああ、昨日は大変だったな。ぶどう酒一杯で酔って潰れた奴を部屋まで運ばないといけなかったからな。」

意地悪そうな笑みを浮かべて言った。

「そ、その際はお世話になりました…。」

その件を持ち出さないでくれ!!

恥ずかしさで死ねる!

「冗談だ。とりあえず行くぞ。」

ゼンに言われて私は気持ちを切り替えながら、足を進めたのだった。

少し短めですが…

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